癌医療に求められること(2)


 広がらないセカンドオピニオン  

 

20039月の開設から1年間に、セカンドオピニオンを求めて236名の患者あるいは家族がオンコロジーセンターを訪れた。このうち、現在の担当医からの紹介状を持参した患者は全体の三分の一にあたる79名、三分の二は、担当医には告げず、あるいは担当医の了解を得ないで、受診したことになる。患者の大部分は、担当医の説明を十分に理解しており、詳細な経過を自分の言葉で説明できるので、紹介状がなくてもセカンドオピニオンを提供することはできる。しかし、抗がん剤治療であれば、使用薬剤名、投与量、などを正確に記載した担当医からの紹介状があるに超したことはない。患者の立場に立つと、担当医にセカンドオピニオンを聞きに行くので紹介状を書いてほしい、とは切り出しにくい。ある大学教授が、「セカンドオピニオンとは、現在、診療をうけている医師、病院を見限って、他の病院にいくこと」と学会ので公言していたが、これは違う。セカンドオピニオンとは、「現在受けている治療やこれからの治療を安心して受けるために担当医師以外の専門家の意見を求めること」である。今かかっている医療機関での医療内容をさらによくするためにセカンドオピニオンが機能してほしい。しかし、現状では、「俺の治療を信用できないのか」、というような意識が医師側にあり、患者側にも、「今までお世話になったのに申し訳ない」、というような意識が働いていることも否めない。セカンドオピニオンが普及定着し、紹介する側も、紹介される側も、ややこしい感情的もつれを伴わない対応ができるようになることを願う。

セカンドオピニオンが普及しない理由は他にもある。医療費である。現在の保険診療では「セカンドオピニオン」という項目はない。診療情報提供料として220-520点(診療報酬額はその10倍)が認められているが、これはあくまで、医療機関から医療機関への情報提供であって、医療機関から患者への情報提供では、初診料250270点だけである。これでは、セカンドオピニオン外来を設置する経費すら捻出できない。セカンドオピニオンは、必要不可欠な医療行為ではないので、時間とお金に余裕のある患者が私費でまかなう、という自由診療の考え方もあるが、このあたりの議論が十分になされていないようである。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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