抗癌剤市販後研究班
国立がんセンター総長阿部薫先生が班長となって、抗癌剤市販後研究班が発足したのは、1995年4月のことでした。その3か月ぐらい前に、国立がんセンター中央病院の内科スタッフが集められ、阿部先生から、経口抗癌剤の有用性を科学的に評価するには、どのような研究方法があるか、アイデアをだすようにと、概略の説明がありました。私は乳癌術後の抗癌剤治療の効果を比較するランダム化比較試験の概略を考えて、仲間と相談して提出しました。乳癌の他に、大腸癌、胃癌の試験が提案され、4月の時点では、乳癌と大腸癌の試験を行なうことが決まったのでした。乳癌の試験は、私が、大腸癌は、同期の島田安博先生が、研究代表者をつとめるよう阿部薫先生から指示がありました。私たちは、当時、まだ、40才の若さ、体力も活力ありましたが、そんな若さで、大きな試験の責任者をやるなんて、前例も後例もありません。島田先生と相談して、ふたつの試験をNSAS(National Surgical Adjuvant Study)と名付け、乳癌の方をNSAS-BC01、大腸癌の試験をNSAS-CC01と名付けました。そして、抗癌剤市販後研究班が始まりました。