エピソード ワン
7月の暑い日差しの下、ほとんど車通りのない国道。目の前のコンビニに行きたいのですが横断歩道は200メール先です。その横断歩道の脇に交番があるので、そこのお巡りさんにきいてみました。「すぐ目の前のコンビニに行きたいのですが、車も全く通っていないので横断歩道でなくても渡っていいですか。」お巡りさんは、横目でちらりとこちらを見て「必ず、横断歩道を渡ってください。」と答えました。やはり、横断歩道を渡らなければいけないのでしょうか?」 → 脳みそ使えや
エピソード トゥ
「今日の治療指針」という分厚い本が毎年、医学書院から出版されます。私も、1-2回、抗癌剤の支持療法のところを執筆したことがあります。この本のあちこちを読むと、いろいろな病気に対して、いろいろな治療方法がコンパクトに記載されています。しかし、そこに書かれている薬のかなりの数で、「保険適応外」となっています。これはいったいどういうことでしょうか? → 脳みそ使えや
エピソード ツウリー
1995年頃でしたか。癌治療学会の乳癌治療のセッションで「乳癌治療にシスプラチンが有効」という結論の発表がありました。確かに、乳癌でも、ファーストラインあたりで使用すればシスプラチンは30-40%程度の奏効率がありますが、アンソラサイクリン耐性の場合、シスプラチンの奏効率は、10%以下。腎障害、悪心・嘔吐などを考えると、あまり使い勝手はよくない、ということから、乳癌診療においては、標準治療とはなっていません。それは、いまも昔も同じ事。それで、さっきの癌治療学会の話。フロアから手を挙げて私は「シスプラチンは乳がん治療薬としては保険が通っていませんが、使っていいんでしょうか」と、いかにも、いかにも、国立がんセンター的な質問をしたところ、座長を務めていた大御所が、「保険は関係ないんちゃいますか。ここは、学問を討論する学会ですから」と取り合ってくれませんでした。当時は、それでよかった。でも、今はそういう世の中ではないように受け止められているが、でも、かならずしも、世の中の仕組みがそこまで整備されていないので、やはり、当時と同じような「保険は関係ないんちぃまっか~?」という対応も必要かも知れません。ハイ、脳みそ使います。
エピソード フォー、それでは問題です。
HER2(3+)、腋窩リンパ節転移20個陽性の術後乳癌の患者さん、「当院ではハーセプチンは使えません。使うとすると自費診療となります。」と言われ、セカンドオピニオンで当院受診されました。年金暮らしで生活も苦しい。どうしたらいいでしょうか。エピソードワンからツウリーを参考に、脳みそを使って考えなさい。
(回答)
このような乳癌は80%以上の確率で、遠隔転移を来してくると考えられます。そういった意味で、極めて転移しやすい性格、すなわち「転移性」を有する乳癌と考えられます。また、ハーセプチンを使用することによって、再発率は、40%以下に抑制させることができる、ということが検証されています。ということは、「転移性乳癌」との診断名の下、ハーセプチンの絶対適応と考えられます。
よくできました。よくできました。よく脳みそが使えました。
プラチナが出たところで質問です。Dennis SlamonのTCHですが、本当にCがいるのでしょうか。Cはsynergyに貢献しているのでしょうか?