所詮、バラエティ番組だもん。


世間では、「発掘あるある大事典II」の、話題ねつ造問題が話題になっています。週刊朝日の追求がきっかけで、あのばかげた番組が打ち切りになることはとても良かったと思います。今まで、がんのことについても、さんざん、でたらめ、脅かし、おちゃらかしで、時々苦労することがありました。
 
一方、私が、1月15日に出演した番組についても、よく知る乳腺外科医から、手厳しい内容のメールを受け取りました。確かに、12月17日にスタジオ収録で、そこで、抗癌剤の話題が出ました。ゲストの「お暇なら来てよね」おばさんが、ぐだぐだぐだぐだ、止めどもない話をし、お暇なのはあんただけだよ~、という感じでスタジオ全体が貧乏揺すりを始めたようなときに、「あら、抗がん剤って、1種類だけじゃないの?」みたいなことを発言。それで、専門家としては、黙っているわけにはいかず、「抗がん剤は、日本で発売されているだけでも150品目ある。それらを、うまく使いこなさなくてはいけない」と反論しました。当初の予定では、あまり抗がん剤の話とかは、掘り下げないようになっていたので、スタジオはスタジオで終わりになりました。ところが、12月29日に番組製作会社の方からメールあり、「抗がん剤治療の現場を撮影したい、副作用が軽く、効果もテレビ的にわかりやすい患者さんの治療場面を撮りたい」、ということでした。しかも、「放映日の都合上、1月9日までの間に」、ということでした。すると1月5日しかないわけで、その日に点滴予定になっていた人で、条件に合うような人は、リンパ管性肺転移で、ナベルビンをやっている方だけ。「来てみて、患者さんの了解が得られれば、撮影できます」ということで、撮影になったわけです。別にナベルビンを賞賛するつもりもなく、ただ、この薬は、脱毛とか、吐き気とは軽いという説明はしましたが、よく知る乳腺外科医からは、いつもの渡辺先生らしくない、みたいなおしかりをうけたわけです。世間の人々に、抗がん剤治療が正しく理解してもらえればとテレビ出演をお引き受けしたわけでが、やはり、あの手の番組は、インパクトがないと飽きられる、視聴率がとれない、打ち切られる、ということで、内容的にも、画像的にも、多少は誇張されたようになるようです。以前、放映がボツになった、フジテレビの番組も、「奇蹟を起こす神の手をもった外科医」というような流れの中では、「街角がん診療」は、いかにも地味に映ったのでしょう、結局、放映予定の2週間前の時点で「ボツ」。
 
あるある大辞典も、ふつうに論文を紹介して、ダイエット効果←DHEA←イソフラボン←納豆、という推論だけでは、教養番組ではないので、誰も見ないでしょう。バラエティですから、面白く、おかしく、愉快に、だけど、無責任であることが表にでてはいけないので、堺正章に、やや神経質そうに、番組を進行させているだけのことでしょう。
 
「面白くない、インパクトがよわい、なにかないか?、もっと、こう、説得力のあるようなものは」というフジテレビ側の番組責任者からの圧力みたいなものもあったんじゃないでしょうか?、きっと。下請けで番組を作っている会社も、フジテレビからのお仕事がなくなるとこまるので、ついつい、有りもしないデータを作ってしまったのではないでしょうか。(まるで姉歯みたいな構図ですね、しかしこれは、あくまで、推察ですよ、推察)。
 
みのもんたはけしからん、というようなご意見も時々聞きますが、みのもんたは所詮、役者として、あのような姿を演じているわけで、決して医療や動物に詳しいわけでありません。あるあるにしても、思いっきりにしても、世にも怖い話にしても、主治医が見つかるにしても、所詮、バラエティ番組ですから、そのことをよくわきまえて、あれは、情報番組ではなく、娯楽番組として観ることが大切でしょう。それが、今はやりの、「メディアリテラシー」というものではないでしょうか。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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