ST.GALLEN2007が終わった


3月14日から開催された第10回のカンファレンスが昨日終了した。最終日のコンセンサスカンファレンスでは、リスクカテゴリーは従来通りだし、各リスクグループ毎の推奨治療もあまり大きくは変わっていない。これだけ見ると、何がかわったの?という印象を持つ人も多いと思う。しかし、ステップ1 「ホルモン感受性とHER2発現状況という、ふたつの臨床生物学的特徴に基づいて治療反応性を判定する」、次にステップ2 「再発リスク評価する」、そしてステップ3 「治療反応性、再発リスク、閉経状況に合わせて、治療を選択する」という考え方が明確になったと思う。このような考え方に基づくと術後の乳癌は「24の病型」の分類できる。これは、だれでも考えつくことであろうが、技化(「わざか」と読む。 物事の段取りを他の人に伝達することのできる技術としてまとめること)できたことで、新しい発展が期待できる。今後は、「基本24病型分類」を使って  日常診療における治療選択② 臨床試験での検証すべき仮説設定 を考えていけばよいのだ。そういった意味で、頭の中を、すっきりと整理できるようになったと思う。今までは、すっきりしない同士があれやこれやと話をしていたのでj標準治療といっても統一感がなかったが、これからは、この、「基本24病型分類」で話をすればわかりやすい。この24病型について、基本となる治療を決めておくことで治療の標準化が一層促進されると思う。今回、パネリストして参加できたので、最初から最後までじっくりと勉強することが出来た点は、大きな収穫だったと思う。今回考えついた「基本24病型分類法」に肉付けして治療水準の引き上げを図りたいと思います。今回は、日本から130名近くがSt.Gallenカンファレンスに参加したが、昔からお世話になっている知人、今回、初めて親しくなった人、など沢山の人たちと話すことが出来たのも大きな収穫であった。とくに、いろいろな臨床試験のドラフトコンセプトを具体化できるような勢いのある若い先生たちを沢山、知ることができたのはとてもよかった。彼らには、これからは頼むね、と、安心してあとを任せられるような感じである。日本から役立つデータが、がんがん発信される時代ももうすぐだ。
浜松オンコロジーセンターを開設して5月5日で2年になる。4月からは、もはや限界の単身赴任生活にも終止符を打てるし、浜松乳がん情報局のNPO化やら、基本24病型分類の普及やら、浜松オンコロジーセンター発展計画やら、浜松医大での講義やら、新たな出発に、期待のふくらむ春である。2年後のST.Gallen Conferenceの時も、アカデミックプロスペラスオンコロジーが実践できているようにがんばっていくぞ、おおー!

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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