現実の世界に


St.Gallen Consensus Conferenceの論文の一回目の手直しも終わり、パネリストとしての情報の整理がとりあえずひと段落しました。Endcrine response uncertainにかわりpartially endocrine responsiveという呼び方になるなど、表面上にも少しの変更が加わることになりそうです。それよりも基本的な考え方が「まず、ターゲットより始めよ!」というアプローチになりずいぶんとすっきりしてきたように思います。乳癌治療もずいぶんと整理されてきたもんだと、はればれした気分でここ数日を過ごしながら春の陽気も感じつつ、ツバメ君の第一偵察隊も確認し、すこしうきうきした気分で過ごしておりましたが、強烈なセカンドオピニオンで現実の世界に呼び戻されてしまいました。昨日は浜松の外来で「HER2強陽性乳癌肝転移、ハーセプチンとパクリタキセルで肝転移が消えたので完全治癒を目指して肝左葉を切除する!」という治療方針を貫く和歌山の先生の患者さん、紹介状はよそ宛のコピー、患者さんも当惑至極です。医学教育が悪いのか、それとも医師としてのセンスが悪いのか、とにかく、まったく理解もできず、賛同もできず、「後医は名医」といえども、こればかりは、「この先生、間違っています」といわなくてはいけないでしょう。今日は飯田橋、埼玉から来たCTやMRIを持参された患者さん、「私の転移はどこにあるのでしょうか?」ということでしたので、画像を見ながら、どこどこ、どこどこ、頸部を触診したら、ウィルヒョウリンパ節も腫れています。「担当の先生からは、説明はお聞きになっていないのですか?」とたずねると、「説明してくれないんです。質問すると怒り出すから、怖くって・・・。専門的なことを聞いてどうする! 医者にでもなるつもりか!」と言うんだそうです。その先生のことは、昔からよくよくよくよく知っており、JCO○や、NSA○などでもよく協力してくれ、JCO○では、かつてベスト何とか賞とかをもらっていた、控えめな先生です。「他の病院に行きたければ行ってくれ、あんたがいなくなれば、ひとり、他の患者さんを診ることができるんだから」とも。「看護師は、なにか説明してくれないんですか?」と聞くと「看護師に聞くと、先生が説明しないことは、聞いてもしょうがないでしょう」と、相手にしてくれないそうです。この病院は、チーム医療とかでも売出し中だぜ。病院ランキングとかでトップに君臨、それで、患者さんが殺到して、かえって、医療の質が急降下ということらしい。ジェームスアレン著「原因と結果の法則」 正しい思いをもてば、それが行動に現れ、行動を繰り返すことで習慣が形作られ、その習慣から人格が完成し、人格を慕って、また、人が集まる - O先生、I先生、見かけは歳でもまだ、私より若いんだから、もう一度、原点に立ち戻り、医師としての「思い」はどうあるべきか、ということをお考えになってくださいね。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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