骨転移治療薬「ゾメタ」の外来化学療法加算が静岡県社会保険支払基金で査定されました。「査定された」というのは、日本語としては正しくはない表現ですが、支払基金側が「ゾメタ点滴では外来化学療法加算は算定できない」と、400点の保険請求を却下してきたのです。しかも6人分の請求が却下されたのです。これは、我が社のような弱小法人では致命的なことです。しかし、おかしな事に同じ月に点滴の抗癌剤を行っている場合はゾメタの外来化学療法加算算定はOK、ホルモン剤の内服だけのような場合は、ゾメタの外来化学療法加算はNO、というわけのわからない対応に、我が社の薬剤師が社会保険支払基金に問い合わせたところ「厚生労働省に確認してくれ」とのことでした。ふつうはここで「長いものには巻かれろ」的発想の一般ピープルは引き下がるところ、我が社の薬剤師は違った、厚生労働省に電話し担当者を突き止めたのです。その担当者(H局I課T氏)が言うには「抗腫瘍効果がない薬剤なので外来化学療法加算の対象とはならない」との見解だとのこと、薬剤師はがっかり気味で私のところに報告に来ました。
そこで私は厚生労働省H局I課T氏に電話し、「先ほど、うちの薬剤師が問い合わせたゾメタの件ですが、その理由についてご説明願えますか?」と尋ねたところ、「ゾメタには抗腫瘍効果はありませんから外来化学療法加算は算定できません」とおっしゃる。「いいえ、そんなことはありません。ゾメタは、癌の骨転移に対して抗腫瘍効果があります。」と返すと、「作用機序から見ても直接作用はありませんから」とのお答え。「だったらこれから出てくるアバスチンはどうですか? 作用機序は間接的ですよね。それも、外来化学療法加算はとれないのですか? では、Lアスパラギナーゼはどうですか? 直接作用ではありませんよね、でも外来化学療法加算は認められていますよね?」と(我ながら見事に)反論すると、「担当のモノが席を外しているので戻ったら確認して連絡します」とのお返事でした。な~に~、あ・ん・た・は・担当者じゃないってかぁ~!! え~? んで、そんな決定的なこといっていいのかよ~、と、思わず電話機を床にたたきつけたくなりましたが、そこは冷静に電話を切ったわけです。それで、あちこちに確認し、根回しできるところには根回しをして連絡を待ちました。
翌日の17日は東京勤務、我が社の薬剤師から「今、厚生労働省のTさんから電話があって、骨病変における抗腫瘍効果が認められるので、ゾメタは外来化学療法加算の算定ができるそうです。これから静岡県支払基金に電話します。」とのメール連絡がありました。早速「ごくろうさん、ごくろうさん、それで、支払基金はなんだって?」と我が社の薬剤師に電話したら、「厚生労働省に確認してみます、ということでした。」とのこと。薬剤の粘り勝ちぃ~! ということで、お持ち帰りメッセージは:
(1) 顔の見える厚生労働省H局I課T氏の対応はすばらしい
(2) (2) 「長い物には巻かれないぞ」という粘り腰の姿勢が望ましい