時代錯誤2題


最近、聞いて調べた看護師関係の時代錯誤的話題をふたつ。

その一

H市医師会では市の中心部の一等地に地上8階地下2階、免震構造の新医師会館を建設するそうです。すばらしい!しか~し、その中に入る看護学校は、看護師養成ではなく准看護師養成の学校だそうです。時代の過渡期としての移行措置ならともかく、どうもそうでもないらしい。えー!? この時代に准看護師養成? 時代コンセプトが明らかにずれているように感じます。

その二

S県がんセンターでは、抗癌剤点滴の際の静脈確保は、いまだに医師の仕事とされており、多忙な医師が静脈確保のための当番に割り当てられているそうです。また、別の病院では、患者であふれかえっている外来中に、医師が点滴のために処置室に呼ばれ、看護師が眺めている横で静脈確保して、その後、抗癌剤点滴への切り替えは看護師がやるそうです。え~?? それって、今の話なの?

厚生労働省によると94%の医師が看護師・准看護師に静脈注射を指示しており90%の看護師・准看護師が日常業務として静脈注射を実施しているそうです(2001年厚生科学特別研究)。ところが(旧)厚生省医務局長通知(1951915)では、静脈注射は「医師または歯科医師の業務で、看護師の業務外」としており、前記の実態と、局長通知での解釈とのかい離が目立っていることが指摘されています(厚生労働省)。看護師の業務外とされた理由は、①薬剤の血管注入により、身体に影響を及ぼすことが大である、②技術的に困難である、の2点。しかし、最近では、厚生労働省では医療施設や在宅においても、看護職員が静脈注射を実施することへの国民のニーズが高まっていることや、大学、さらに大学院レベルでの高度の看護教育が普及しており、静脈注射に関する原理原則、薬剤の作用および特性、緊急時の対応等が習得され、緻密な観察に基づく的確な判断力と技術力のある看護職員が育成されているとして、2002930日、上記の局長通知を廃止し、新たに「医師または歯科医師の指示の下に、保健師、助産師、看護師及び准看護師が行う静脈注射は、保健師助産師看護師法第5条に規定する診療の補助行為の範疇として取り扱う」との医政局長通知を出しました。この通知に基づき、医師は医師らしい仕事、看護師は看護師らしい仕事を患者のためにしなくてはなりません。がん医療の領域ではチーム医療の充実が叫ばれており、それには、業務の適正な分担が大切です。抗がん剤点滴と言っても、静脈確保は、生理食塩水なり、ブドウ糖液なりで行うわけですから、通常の静脈確保と同じこと。今の時代、静脈確保は、患者に信頼される看護師の業務として認識しなくてはいけません。医師は、静脈確保に走り回るのではなく、SPIKESの実践による正しい情報提供のために時間をかけなくてはいけません。

広告

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中