CSPOR CRCセミナーが昨日、終わった。関係者の皆さん、ご苦労様でした。今回で15回目、まさに継続は力なりである。CRC育成のための勉強会は、当初あちこちで開催されたが長続きしているものは少ない。CSPORでこのように継続できている理由は、その企画力であろう。ありきたりのプログラムにはならないよう内容の充実にいつも心がけている。しかし、問題も多い。
問題として一番に感じていることは、参加者からの質問がない、ということ。「学会や研究会に行ったら必ず一つは質問して来い」、これが、国立がんセンターレジデント時代、恩師、阿部薫先生から教えられた教訓だ。質問しよう、という姿勢で取り組むと、一生懸命に聞くようになる。最初から、受け身の姿勢だから質問も出ないのではないか。もちろん、講義の内容が難しすぎて、ということもあるかもしれない。そのときは、難しすぎてわかりません、と質問してもかまわない。そういえば相変わらず、居眠りしている人が多い。とくに、若いCRCは講義で居眠りする習慣が学生時代からついているようだ。今度から寝ている人はつまみ出す。質問が全くでないので、ついつい、チューターであるわれわればかりが質問することになり、そうすると、どうしても質問の内容は専門的となり、時には楽屋ねたで盛り上がることもある。せっかく時間と労力とお金を使って参加しているのだから、居眠りせず積極的に質問してもらいたい。
今回、参加者の6割は初めて参加するという人、さすがに15回すべて参加という人はいないが、それでも10回以上参加している人は20%ぐらいいる。このようなベテランリピーターは、スーパーバイザーとして、グループワークなどでの指導者としての役割を担ってもらっている。グループワークの形態も定着してきた。スーパーバイザーも、それぞれが工夫をしてうまいことやっている。CRCのひよこ組では、一日目はなかなか話が盛り上がらなかった。しかし、二日目の終盤になると、何を目指して仕事をすればいいのか、わからないときにはどのような本を読んで、どうやって勉強すればいいのか、など、CRCがこれから育っていく上で習得すべき基本的な知識や、勉強の仕方が共有されていたようで参加者(顧客)満足度点数も高い。
継続的な勉強と言っても個人のレベルでの継続とセミナーとしての継続は違う。初回参加者が60%となると、いつも初心者向けのプログラムも用意しつつ、上級者でも満足できる内容を提供する必要がある。ポイントは、グループワークを増やして、卵、ひよこ、アヒルの各レベルを並行して行えばいいのだろう。
今回、一番気になったのは、がん情報センターの話。あれはいったいなんなんだ、といいたいような内容である。そもそも、患者への情報提供は、医師–患者関係の枠組みの中で対応すべき問題であろうに。とくにピンボケは「がんは怖いですか?」というアンケートをとりました、って、いうじゃない。 昔、スネークマンショーというパロディがあった。現場からの実況という感じで「私は、戦場に来ています。今、あちらにちょうど、たまにあたられたかたがいます。伺ってみましょう、『いたいですか?』『戦争、お好きですか?』」というのとおんなじだ。私たち、高額納税者の税金をもっと有効に使ってくれないと困るよ。
外部から来てくれた講師にいちゃもんをつける、というのも問題、という意見もあるが、なあなあで済ませていい、ということはどこにもありません。