11月3日は大阪クリスタルタワーで、SPIKES普及協議会主催 「コミュニケーションスキルワークショップ」を開催した。このワークショップは名古屋、秋田に続いて3度目となるSPIKES-BCによるロールプレイを中心とした普及活動の一環。最初に「医療崩壊をくいとめるために医師の付加価値を高めよう」という趣旨で私が講演、SPIKESのポイントも整理して話した。開始前、会場の参加者からは、「セッティングはセッティングやろ、次のパ・・、何やこれ、わからんわ、日本語にしてもらいたいわ、まったくぅ~。」という会話が聞こえた。大阪弁だけに怖い。例によって、そう言っていた本人に、質疑応答のときに「何か質問してください」と当てたところ、「病名告知などで、私たち看護師は、どのようにかかわればいいのでしょうか」と、すばらしい質問をしてくれた。すごいじゃん。
ロールプレイは2題、病名告知のシナリオは、和歌山の粉川先生に、転移再発のシナリオは高知の杉本先生にお願いした。粉川先生12年目のバリバリ、杉本先生は25年目のベテランで、CSPORなどでもご協力いただいている。患者役、夫役は、劇団SPIKES-BCが担当。当初より、思いっきり突っ込んで、ごねて、困らしてやろうか、みたいなのりで、てぐすねひいて本番を迎えた。粉川先生は、こんなはずじゃあなかった、と事前にはずいぶんとぼやいていたが、粘り強い語り口で、乳癌と診断され、これから、最適な治療を行うために全力で取り組みましょう、というメッセージを20分できちんと伝えた。患者役の井上さん、夫役の橋爪先生も、聞きたいことは全部聞いて、十分に納得した、という境地に達したようだった。杉本先生は、シナリオをきちんと把握し、主治医が急遽出張になり、代役として説明する研修医という設定で、肝転移が出たこと、これからパクリタキセルを行うこと、脱毛にこだわる患者の意向にも十分に配慮しつつ、治療の意義をわかりやすくしっかりと説明する、という流れで、これも20分で、患者、竹原先生、夫、福内先生、十分に納得診療であった。
今回のワークショップで認識したことは、「病名告知、転移の説明、治療の説明など、いわゆるBad Newsの説明は、SPIKESを使えば大体20分で患者が納得するレベルまでの説明は可能である。」といういうことだ。一人の患者に20分もかけられない、というのではなく、このような説明をするためには、20分はかけなくてはなりません、ということが真実なのだ。そうすると、20分かけても、病院の固定費、人件費などがまかなえるようにするには、2000点程度の診療報酬を「納得診療加算」として算定しなくてはならないだろう。、患者負担は3割で6000円、安いものだよ。これを、加算なしでやれといったら、医師は疲弊し病院は崩壊する。納得診療加算を算定するためには、説明を受けた患者が「納得しました」という意思表示を署名の形で残さなくてはいけない、というふうにすればいいだろう。
話は変わるが、「情報はただ」、と思っている患者もあり、頭を冷やせといいたいようなことが最近、増えている。突然病院に電話がかかってきて、患者団体の○○に聞いたのですが、先生に伺いたいことがあるのでお願いします、と。今、診療中ですので、セカンドオピニオンの予約をとってから受診してくださいますか、と電話で受付担当者が対応すると、がちゃん、と電話を切る。そんな、不心得ものが増えている原因のひとつは、患者団体をちやほやする、最近の風潮があるのではないかと思うが、どうよ。