1月19日の浜松医療センターの市民講座では、放射線治療の飯島光晴先生のお話を聞いた。飯島先生は、毎週のようにカンファレンスであっているが、あれほどまでにお話がうまいとは知らなかった。一般市民を対象とした話でIMRT(強度変調放射線照射)や粒子線の理屈を自作のアニメを使ってうまく説明していた。先週は聖隷三方原病院放射線科の山田和成先生の話を聞いた。これは、がん診療拠点病院としてがん診療従事者を対象にやらなければならない講演である。先の浜松医大の総花的何の変哲もなき話に比べれば、ずば抜けてわかりやすかった。山田先生は、何せ、お声がよろしい。バリトンの染みいるような声で、これまた、放射線治療の話を実にわかりやすく解説してくれた。話やスライドはとてもオーソドックであるが、ご自分の経験や、最新の論文などを紹介しつつ、説得力のある話だった。IMRTについて、実際はとても手間暇のかかる治療計画策定が必要である、という話、初めて聞いた。よくわかった。また、脳転移に対するガンマナイフについて、あちこちの脳外科で、10個や20個の転移に対してガンマナイフをやっているのはもんだいではないでしょうか、と質問したところ、最初は当たり障りのないお答であったが、だんだんことの本質をはっきりとわかりやすくお話された、やりすぎだと思います、と。 東大放射線科の中川先生にしても、放射線治療という、目に見えないもの、だから、一般の人が必要以上に恐れるものについて、実にわかりやすくお話をされるものだ、と感心する。私も、タンポポの種、インクを川に流すたとえ、など、目に見えない転移や、抗がん剤の話をわかりやすく話すように努力はしている。しかし、外科医は、目に見えるものは全部とりました、みたいなわけのわからないお話がお好きのようだ。戦う相手は目に見えないものであるのに。