学生の視点


春休みに入って、浜松医大の学生が、毎日2-3人づつ、浜松オンコロジーセンターに外来見学に来ている。4月から5年生になるという学生さん、みんなとても礼儀正しく、取り組みもすばらしい。これは、別に、カリキュラムでもなく、まったくの自発的な見学である。誰かに行け、と言われてきているわけではなく、腫瘍内科って、いったい何をどうするものなのか、見てみたい、知りたい、体験したい、という純粋な向学心から、春休みを使ってきているのだ。朝8時30分から夕方5時過ぎの診療終了まで、診察室にお行儀よく並んで座って診療を見ている。患者さんには、「今日は医大の学生さんが来ています。」と紹介するが、学生は礼儀正しい。患者さんもとても好意的、わが町の医大の学生さん、がんばってね、という感じ。中には、皮膚転移病巣をわざわざ学生に見せて、「もっと近くで御覧なさい。抗がん剤でこんなにきれいになったのよ。」と説明してくれる方もいて、学生にとっては、何から何まで、初めての経験らしく、帰りがけに書いておいていく感想文は、どれもすばらしい内容だ。学生には、かならず、がん診療レジデントマニュアル、SPIKES-BCの本をプレゼントする。指導の基本方針は、薬や病気のいちいちの細かな知識はあまり触れず、添付文書の調べ方、療養担当規則の考え方、治療計画の立て方、など、将来に役立つような、基本的なところを伝授することにしている。旅に出るのに魚100匹を持っていくか、魚釣竿を持っていくか、というたとえは御存知か。細かな知識のブロック、すなわち魚100匹を身に着けても、やがてその知識は、古くなったりして、役に立たなくなる。それよりは、勉強の仕方、すなわち魚釣竿を使えるようにしておけば、必要なときに魚をつることができる。pmdaのホームページで最新の添付文書をダウンロードする仕方を知っていれば、副作用が、既知なのか、未知なのか、すぐに調べられる。未知の副作用がでたら、その時はpmdaに報告しなくてはならない、って言うことも、え、そうなんですか、と学生は初めて聞いて驚くが、一度教えると、一人で、どんどん、添付文書を調べている。自分も、そういうふうにして指導され、そのような指導が一番いいだろうと思っている。学生にとって、臨床の現場を見るのがまったく初めて、と言うこともあるだろうが、朝から晩まで退屈するようなことはないらしい。こちらも、国立がんセンターのレジデント教育で身に着けた指導のノウハウも役立っているが基本的には、「腫瘍内科はおもしろいよ」というメッセージを行動と言動で伝えることが大切だと思う。
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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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