週末は盛岡に行ってきた。参加は医師、薬剤師、看護師のみなさん50名ぐらい、居眠りしている人は一人もいなかったし、質問は引きも切らず、時間いっぱいまで活発な討論ができた。講演の最後の質問は、こちらの話を聴衆にどれだけ理解してもらえたか、どういう点を疑問に感じているのだろうか、次に話すときには、どの点のエビデンスを盛り込んで、どこをバージョンアップすればいいのか、など、多くのヒントがもらえるので、今回のようにたくさんの質問がでるととてもうれしい。講演の内容や、使用するスライドも、少しづつではあるが、新作ネタや、新しいデザインを加えるようにしている。しばしば私の講演を聞いてくれる玉岡さんが、「先生のスライドは、いつも聞くたびに進化していますね。」といってくれる。今回、呼んでくれた柏葉先生も「渡辺先生のお話はいつも新しい話題が盛り込まれていますね。スライドも初めて見るものも多いですね。GKIT先生なんかいつも同じスライドで同じ話ですよ。」とほめてくれた。真実を語る場合には、いつも同じ話、同じスライドで問題ないわけで、私もGKIT先生の話は何回か聞いたことがあるが、古典落語を聞いているようで、それなりに落ち着く。しかし古典落語でも、たとえば、今は亡き桂枝雀の落語DVDを何種類か持っているが、鷺でも代書屋でも、つかみのところが変わっていたり、少しづつ進化はしているので、GKIT先生のように全く同じ話を何回も・・というのも、さらに貴重なんじゃあなかろうかいってか。
1994年から始まった全国講演行脚も今回の岩手県達成で残すところあと島根1県だけとなった。最初は名古屋。当時は、私も一生懸命にJCOG試験を引っ張っていて、下山先生にもかわいがられていた時期で、試験計画を書いたり、JCOG試験のCRFを現在のような形式を導入したりと熱中青年していた。それを認めてくれて、なかなか面白いことをやっとる、ということで青山先生が呼んでくれた。今でも覚えているが講演後の質疑で三浦先生から「乳癌治療は我々外科の領域で回っているのに、渡辺君は、何を好き好んでこの領域のことをやって見えるのか、僕にはそれが不思議でならないんだけど」とのコメントをいただいた。15年も経つと標準治療も随分と変わるわけで、これも遠い昔の話としては懐かしい。あと1県、乳癌診療の専門家もいないのかもしれないけれど、適正な薬物療法が必要な乳癌患者はいるだろうから、お呼びいただければいつでも参上し、なぜ、標準治療は標準治療なのか、というようなお話でも致しましょうか?