針生検を行って術前化学療法を検討している患者、検査会社BMLを通じて免疫染色を提出したところ2+、HER2状況によって治療を選択するプロトコールなのでFISHの結果を待って決めなくてはいけない。BMLではFISHを自前でやっていないので外注するそうで結果がでるのが生検をしてから1か月半先という信じられない対応だ。
FISHを自前でやらないのはFISHの点数が低く設定(2500点)されているので逆ざやとなってしまい、多くの検査センターでは検査をやればやるほど、赤字になるというのがその理由らしい。HER2の適正評価のためにはFISH法は不可欠であるのにどうして厚生労働省保険局経済課は適切な保険点数を設定しないのだろうか? 小泉政権以降の「三方一両損」にたとえられる総医療費抑制の悪影響がここにも現れているように感じる。検査してから結果がでるまで1ヶ月半、起きるべき微小転移はもう起きているので、今から治療時期が多少遅くなっても大勢に影響はないですよ、という理屈は間違っていないし、そのように説明するのだが、理由もなく検査結果判明が遅くなるというのは、一両ばかりの損では済まされない。