今日は3日目の金曜日、初日は昼から始まり、しょうもないサテライトを聞く羽目に。気を取り直して、Rihard Gelberのオープニングアドレス。緻密な統計家、いけいけどんどんの大橋先生とは全く違うタイプだ。2002年にハーバードに呼ばれて講演したときにいろいろ話して以来、会うたびに緻密な話をしてくれる。今回の発表は、若年者は予後がわるいと言われているが、それは、ER陽性症例が十分なホルモン療法受けていないからでは?という、IBCSGなどの試験結果に基づく考察に基づく。僕もそう思う。リスクカテゴリーの項目に年齢が含まれているのは、ミスリーディングであると感じる。若い人にはケモをしっかり、というのは間違った考え方だろう。
二日目は、遺伝性乳癌の話や、予防の話。遺伝性乳癌と言えば、必ず登場するのがボストンのジュディ・がーバー。とても礼儀正しい発表で笑顔もすばらしい。BRCA関係のレビューなのだが、聞くたびにやはり、進化している。今回は、予防的乳房切除は確実だが悲しい予防方法である。しかし、こんなすばらしい再建方法もあるよ、という話が加わった。また、BRCA遺伝子異常を伴う乳癌は、悪名高きトリプルネガティブ乳癌の権化みたいなものだが、それに対して新しい薬剤としてPARP(Poly(ADP) Ribose Polymerase)阻害剤の効果が検討されているという話も加わった。もう一つ、久々に登場という感じの、Dr.Trevor Pawles。ロンドンのRoyal Marsden病院の老齢のオンコロジスト。かつて、NSABPのタモキシフェンによる予防試験が公表されたころ、平行してロンドンとイタリアでも予防試験が行われていた。しかし、被験者数が桁違いで、バーナードフィッシャーにぼろくそに言われ、泣きそうな顔をしていたのでを覚えている。(ここで、ウンベルトベロネッシーの話が始まったのでちょっと失礼)。