昨日、筑波大学泌尿器科の赤座先生が浜松に講演に来たので聞いてきた。タイトルは「がん診療の現状と今後の課題」。期待していったのだが期待はずれだった。というのは、話の中身が変なのだ。「腫瘍内科医と泌尿器科のテリトリーは・・」とか、「腫瘍内科医は、俺たちに抗がん剤治療は全部まかせろというが・・」とか、「すべての疾患を見ることができる腫瘍内科医は果たして存在するのか・・」など。前立腺がんを例に取って話そう。
①PSAが上昇してきた60歳の男性。前立腺触診をしたら硬結がふれた。前立腺がんの可能性が高いから泌尿器科を紹介した。生検の結果前立腺がん。前立腺全摘して、限局型(遠隔転移がない)なので、引き続き腫瘍内科でフォローアップ。
②大学病院泌尿器科で前立腺がん骨転移で、ホルモン療法(LHRHアゴニスト、カソデックス、エストラサイト)などを実施4-5年はコントロールできていたが増悪。さまざまなホルモン剤のさまざまな投与方法が試みられたがPSAは増加の一途。ホルモン不応性と診断され、ドセタキセルが使用されたが、白血球が1500になったという。ことで泌尿器科では投与中止。その後、再び、ホルモン剤が繰り返されたが奏効するはずもなく痛み増強。肝転移も出てきた。腫瘍内科ではドセタキセルの使用は手慣れたもの。うまくマネージして緩和的化学療法成功。
これらふたつの事例のように泌尿器科医が腫瘍内科と協力して患者にとって最善のアプローチをすればいい話だ。冒頭のようにテリトリーとか、お前らは手を出すな、みたいな話はおかしいのだが、そのような話になってしまったのは西條さんがわるい。「肺癌の化学療法しかわからないにせ腫瘍内科」といわれても仕方がない。そうはいっても西條さんは自民党のあほう元首相と同じで過去の人だ。おかしな議論はここらへんでおわりにしましょうね、赤座先生。