-ologyが違うなあ


昨日は静岡県大腸癌化学療法研究会というのがあって一般演題に対するコメンテーターとして参加した。静岡県では大腸がんは未だに外科医の牙城、しかし薬物療法が急速に浸透してきている現在、外科医が(見よう見まねで)薬物療法に取り組んでいる状況だ。しかし、われわれからみると、え~、なんでえ~、(ムンクの叫び)、信じられな~い、というような議論がまかり通っている。そのため、コメントもついつい過激になる。転移再発大腸癌に対して薬物療法がそれなりの効果を発揮しているのに、残った腫瘍を手術で取る、という文化がまかり通っているのが理解できない。技術的に取れる、切れる、ということが予後を改善する、という確証はまったくない。なのに、「コンバージョン」という表現で手術をすることを正当化しようとしている。「技術的可能」だが「生物学的無謀」というように感じる。どうも学問、つまりオロジー(-ology) が違うような気がする。

 

コメンテーターとして次の問題を提起した。

 

薬物療法がよく効く症例が増えてくると、どのようなことがおきるでしょうか。以下の記載のうちから正しいものを選びなさい。

 

(1) 大腸癌が転移してもQOLの高い生活を送ることのできる患者がふえる。

(2) 外科手術の重要性がますます高くなる。

(3) 外科手術がだんだん不要になってくる。

(4) 消化器外科医、腫瘍内科医、看護師、薬剤師などによる患者中心のチーム医療がますます重要になる。

 

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“-ologyが違うなあ” への 2 件のフィードバック

  1. いつも拝見させて頂いてます。先生の乳癌化学療法についての発言は参考にさせて頂いております。
    転移陽性大腸癌の治療についてですが。
    大腸癌において肝転移や肺転移(特に肝転移では)が完全切除可能な場合は切除する。または最初は切除不能であっても化学療法を行って切除可能となったら切除することで予後が改善する、または治癒する可能性があります。これはいくつかの研究で証明されています。
    NCCNガイドラインでも推奨されております。

    1. コメントありがとうございました。技術的に切除可能か、ということと、それが患者のベネフィットにつながるか、ということはきっちりと区別しなくてはいけません。予後を改善する、というのは、きちんとしたランダム化比較試験で検証されて、初めて使う言葉です。切除した場合、切除しなかった場合に比べて予後がいい、という検討結果はいくつかありますが、ヒストリカルコントロールだったり、同時期で、切除できた、出来なかった、あるいは、化学療法が効いた、効かなかったを比較しているにすぎず、セレクションバイアスを見ているにすぎません。可能性がある、というのなら、その可能性を検証すべく、ランダム化比較試験を行うべきなのではないでしょうか?

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