癌治療学会も勉強にはなるけど・・


分子標的薬剤が主なテーマであったような感じの三日間、知識を整理するのにはよい時間だが、シンポジウムやパネルディスカッションでは、ほとんどすべての発表が海外データの焼き直しで、日本でも同じだったというものばかり。しかも後ろ向き研究なので、サブセットに分けていったら症例数が少なくって結果が出なくて、それでも結論では差があった、と言っているような発表ばかりだ。国立がん研究センター東病院からの胃がんのHER2発現状況と予後を検討したという発表など、研究と言っているがあんなのは金と時間の無駄使いであろう。でも、焼き直しといっても、それなりの意味がある発表もあった。同じバイオマーカーのセッションで、大腸がんに対するアービタックス®(セツキシマブ)の治療効果をEGFR、KRAS別にみたところ、日本人でも、既に海外で言われているように、アービタックス®(セツキシマブ)の効果は、EGFR陽性・陰性とは関係なく、KRAS野生型・変異型の方に差があったという北大の小松先生の弟子の結城先生の発表はメッセージ性があった。ならば、そのメッセージをどうしたら行政に反映できるか、を考えてほしいと質問した。その心は、つまり、アービタックスの添付文書をみると、効能効果に「EGFR陽性の大腸がん」となっているため、EGFR検査して陽性でないと使えないことになる。注意欄にKRAS野生型を確認することも考慮せよ、とはかいてあるが、これでは紛らわしく、薬事行政の末端までには真意は伝わっていない。だから、思い切って効能効果欄をベクティビックスと同じように「KRAS野生型大腸がん」に書き変えなくては現場が混乱するということだ。そうしたら、東病院のよしのくんが、FDAの動向をみて対応していきたい、みたいな発言をした。だから、だめなんだよ、君は。いいか、いつもそうやって他の国の後追いをしなくては安心できないという姿勢がドラッグラグをうんでいるんだぞ。 ついでにいうと、ハーセプチンを使うときにHER2測定日をレセプトに書かなくてはいけない、というあの規定も廃止した方がいい。これについては、虫害邪魔愚痴に訴えたどころ「メーカーの立場ではそんなことを厚労省に言ったら、おまえのところは測定なしでどんどんハーセプチンを使わせるつもりか」っていじめられてしまいますよ、とこれも弱腰外交である。現場のがん医療をやりやすくする、というのも学会の重要な活動目標である。トランスレーショナルリサーチという偽名に隠れて無駄な金と時間を使っていてはいかんだろう。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“癌治療学会も勉強にはなるけど・・” への 1 件のフィードバック

  1. 勉強になりました。行政にどう伝えていくかは非常に重要な問題だと思います。学会発表の段階でわかって来たことを行政に伝える仕組みが大切ですね。ドラッグラグのことで活動している患者さんたちと、この点についても話し合いたいと思います。

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