JAMAに掲載されたACOSOG Z1011試験についてASCOの視点を表明しました。それによると、この試験の結果はあくまでも、腫瘍径5cm以下、センチネルリンパ節生検で1-2個陽性で、温存術をうけて、放射線照射と、薬物療法をしっかりやっている症例に当てはまる結果である、としています。
しかし、ASCOでも、すでに、この結果が一般臨床に応用されつつあることを認めています。その最大に理由は、腋窩リンパ節郭清による浮腫、疼痛、運動障害などの副作用は、患者にとって厳しい現実であり、腋窩郭清をしないで済むのなら、しないでほしいという希望は極めて強いからです。
また、この試験は、標準治療を変革させるものであり、また、他のがん領域でも言えることですが、外科医の「手術やりすぎ症候群」にレッドカードを与える、意味のある試験結果であるといえるでしょう、と言うようなニュアンスのコメントも載っています。(渡辺やや誇張気味)。
腋窩郭清は、かつては治療と考えられていました。しかし、それが検査という位置づけに降格になり、今回、不要という烙印を押されかねない状況となっています。これは患者にとっては大きな、大きな喜びでしょう。しかし、反面、外科医にとっては、大きな、大きな悲しみかもしれません。断っておきますが、決して私は外科医がいらない、と言っているのではありません。外科手術が大きく変わってきて、今後は原発病巣からの生物学的情報をえるための生検ぐらいの意味が残っていくだろうけれど、それとて、針生検、バコラ、マンモトームで代用できるのだから、結局は外科医はいらない、ということになるのでしょうか。若い外科医諸君、転職するなら今ですよ。MKタクシー運転手募集中!
いつも拝見しております
乳腺外科医は不要になるかもしれませんが、
他にも外科医の仕事はあるのではないでしょうか?
先生の書き方を拝見していると、
世の中から外科医は全く必要ない様な印象を受けます
先生がもし外科医の手を必要とする病気になった時には
どうされるのでしょう?
近藤先生の様に「手術は要らない!」と声高に叫びまれるのでしょうか?
がん治療の領域は日進月歩です。私の人生の時間軸、すなわち1980年から今日までの30年間だけでも、大きく変容しています。もはや、がんに対して、拡大手術などを試みるドンキホーテのような外科医は存在しないでしょう。そういう観点から、自分たちは変化の流れの中にいる、dynamicな状況であり、決してstaticではないという認識を持たなければなりません。もちろん、心臓外科、小児外科、外傷外科などは、重要な医療として、当面は存続すると思います。また、自分がどうだったらどうしますか、家族だどうだったらどうしますか、という論調を私は持ち合わせておりません。近藤某と同格に認識して頂き光栄に存じます。
乳腺だけが外科医の仕事じゃないんですが。むしろ乳腺の手術とか簡単になりすぎているので内科の先生がなさったらよろしいかと思います。情況が流動的であることくらい誰でも知ってますけど。それくらいの認識を偉そうに語られても困惑するしかない。
子供じゃあないんだから、意見があるのなら、きちんと名乗りないさい。無名の発言は無責任極まりない世の中の迷惑となると思う。
実名か匿名か関係ないでしょう。内容だけが問題ですから。むしろ実名で有害な発言するほうが世の中の迷惑ではないですか?あなたの発言は乳腺外科だけでなく外科医全般に向けた発言なので問題なのですよ。それで内科医の先生は郭清もしない処置レベルの切除もできないの?
いつも楽しく拝見いたしております。私は外科医ですが、投稿される外科の先生方は Effect of Occult Metastsis on Survival in Node-Negative Breast Cancer : N ENGL J MED 364;5 2011. や、Axillary Dissection vs No Axillary Dissection in Women With Invasive Breast Cancer and Sentinel Node Metastasis A Randomized Clinical Trial :
JAMA, February 9, 2011—Vol 305, No. 6 などは読まれましたでしょうか?このあたりの論文を読まれて、必要なら孫引きして資料をまとめ、ご自分なりの意見と意思を確立して治療方針を決定したうえでコメントを投稿された方が良いと思いますよ。外科・内科云々ではなくこれからの乳癌治療についての実りある討論を希望致します。