入り口が変わって歓迎すべき方向へ どうよ GKITは?


St.Gallen 2011が終了して2週間ちょっとだが、今回はすでに「ハイライト論文」の第1回のドラフトがパネリストに配信され意見を求められた。今回は、前回のブログでお話したように、従来のリスクカテゴリーという表が全く消えさり、その変わり、表2として、Intrinsic subtypeと臨床的近似型の対比、つまり、Luminal A、Luminal B(HER2陰性)、Luminal B(HER2陽性)、Basal Like、HER2-richの5病型分類が示されている。これが、入口が変わりました、ということである。腋窩リンパ節転移云々、腫瘍径云々という解剖学的拡がりに着目したリスク分類は完全に姿を消したのである。表3には、各病型別に推奨する治療が示されている。luminal Aには化学療法は原則として用いない、と書いてある。それは、術前でも術後でも同じことである。振り返ると2007年には24病型分類が表として掲載され、その時はまだ、年令が考慮されていた。今でいうLuminalAでも若ければケモをがんがんいく、という癌研スタイルの治療が行われる根拠となっていた。2009年には年齢が外されたが、その後も癌研では癌研スタイルの治療ががんがん行われていた。GKITの信念だろうが、それはやはりあらためるべきであろう。今回は、完全にバイオロジーに着目して、無駄なケモはやめよう、無駄な手術はやめようという方向性が明確に打ち出されたのはとても歓迎すべき方向だと思う。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“入り口が変わって歓迎すべき方向へ どうよ GKITは?” への 4 件のフィードバック

  1. 渡辺先生 侍史
    いつも楽しみに拝見させていただいております。我々の乳腺疾患カンファレンスでもintrinsic subtypeをベースに薬物療法を検討する様になってきました。また、昨年からすべての手術症例においてki-67を測定していますが先生はki-67の低~中等度~高発現の評価は何%程度になるとお考えでしょうか?また、個人的にはPACS01のsubgroup解析の結果からki-67が高値であればDocetaxelを使用すべきと考えますが、先生のお考えはいかがでしょうか?ご教示いただければ幸いに存じます。

    1. PACS01はCEFx6 vs. CEFx3>DOCx3 の比較でER or PgR陽性症例が8割近くふくまれています。全体ではDFSもOSもCEFx3>DOCx3 の方が良好でしたがサブセット解析では閉経前より閉経後の方がCEFx3>DOCx3 がよさそう、gradeは関係ないみたい、・・という結果でした。ケモは閉経前の方が閉経後よりも効くという相場になっていますが、このPACS01の観察では、エンドキサンによる卵巣抑制効果がCEFx6の方が強いから、ということなのかもしれません。グレードの高低とは関係ないと言う結果はKi67の高低とは関係ない、ということを意味するものなのかもしれません。個人的には、ということでやるのも結構ですがサイエンス井上を目指すなら、術前治療でCEFx6 vs CEFx3>DOCx3 を比較してKi67 が高いポピュレーションはCEFx3>DOCx3 の方がpCRが高い、というような検討をすればいいでしょう。しかし、あまり、矮小な、薬剤だけに目を向けた課題に取り組むのもMSD的に陥りますので御留意下さい。

  2. 渡辺先生
    はじめてのコメントになります。北海道で外科医をしています後藤 剛と申します。
    以前から先生のブログを楽しみに拝見しています。外科医にはちょっと辛口ですが、違った視点からの切り口は大変勉強になります。また今回のSt.GallenについてはTVカンファレンスなどが全て中止となっているなかで、最新の生の情報をありがとうございます。
    ひとつ質問なのですが、Luminal Aには原則として化学療法は用いない、という勧告になった場合、エビデンスレベルはどうなのでしょうか? これまでにLuminal Aのみを対象に化学療法と内分泌療法を比較したRCTや、Ki67の発現状況まで解析して比較したmeta-analysisの報告はないように思います(EBCTCG 6がどうなるのかはわかりませんが)。level 6 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)ということはないとしても、現状では level 1a/1bに相当するエビデンスはないように思うのです。
    Luminal Aには内分泌療法だけというのは感覚的にはわかるのですが、それだけで良いとする根拠となる臨床研究が見つけられずに当惑しています。publishされてから勉強し直せと言われるとそれまでですが、ぜひご教示いただければ幸いです。

    1. 比較試験は、ER陽性症例を対象としてホルモン療法 対 ホルモン療法+化学療法 というランダム化比較試験が複数実施されました。これらの試験では化学療法の上乗せ効果があってもごくわずか、という結果が得られています。有意差にはなっているけどその差はごくわずか、ということです。これらの試験のいくつかを対象に、Oncotype DXの性能評価が行われたのは御存知でしょう。その結果は、Recurrence Scoreが低い症例では化学療法の上乗せ効果はない、Recurrence Scoreが高い症例でのみ化学療法の上乗せ効果があるという結果でした。また、RSの低い症例では、Luminal Aの特性も有していると言うことも明らかになっています。一方、Dan BerryのJAMAの論文、Dan HayesのNEJMの論文でも、サブセット解析でやはりER陽性、HER2陰性といったLuminal Aの特性を有する症例群では、強いケモ、長いケモ、複雑なケモの有用性は認められていません。頭を使ってこれらの情報を包括的に判断するとLuminal Aには、化学療法は不要という、好ましい結論がコンセンサスとして導きだされたわけです。なにも、当惑するはなしではなく、もし、御不満なら、北海道地区ででも、Luminal Aを対象としたProspective randomised trialで、Chemo vs. Endocrineを検討されたらどうでしょうか?

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