がんと温泉 Part 2


もうひとつの部類が「温泉に行ったら脱衣室にがんの患者は入浴禁止と書いてありました。先生が温泉に行ってもいいというから楽しみに行ったのですが、入らずに帰って来たんですぅ。」というようなものです。私も温泉が好きなので、次に行った青森県の古牧温泉の脱衣室に掲載してある「成分、禁忌症、適応症および入浴上の注意」を確認したところ、確かに、浴用の禁忌症の欄に、悪性腫瘍(癌および肉腫等)と書いてありました。こう書いてあれば、物事をまじめに受けとめる人は、入浴しないで帰ってくることになるでしょう。

しかし、この禁忌症、医学的に見て、全く根拠があるとは思えません。それで、調べてみたのですが、温泉法 第18条に「温泉を公共の浴用又は飲用に供する者は、施設内の見やすい場所に、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を掲示しなければならない。 一 温泉の成分、 二 禁忌症、三 入浴又は飲用上の注意 とあります。また、温泉法施行規則(温泉の成分等の掲示) 第十条  法第十八条第一項 の規定による掲示は、次の各号に掲げる事項について行うものとする。 一 源泉名、 二 温泉の泉質、三 源泉及び温泉を公共の浴用又は飲用に供する場所における温泉の温度 四 温泉の成分 五 温泉の成分の分析年月日、 六 登録分析機関の名称及び登録番号、七 浴用又は飲用の禁忌症、八 浴用又は飲用の方法及び注意、 九 次項各号に掲げる事項 とあります。しかし、禁忌症はどうやって決まっているかについてはどこにも書いてありません。そこで浜松市役所に確認したところ、「温泉の更衣室にある表示については環境省の局長通知(昭和58年ぐらいでとても古いもの)に基づいているようです。意味合いは単純に「具合の悪くなるかもしれないから」というレベルのようです。通知が発せられた時代は、がん患者さんへの配慮などは全く考えられていなかったからではないか?」ということでした。

ということは、つまり、なんだな、温泉ががんにいいとか、悪いとか、そういう話は待ったく根も葉もないでたらめ、いわば都市伝説みたいなもの、ということなんです。

がん患者は、ただでさえ、食べてはいけない、やってはいけない、といろいろと無意味な自己規制を設定しがちです。しかし、今回の調査で、温泉に行ってはいけない、ということは完全に間違っているということがわかりました。たまには、温泉に入ってリラックスして冷えたビールで乾杯!! ということも大切ですね。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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