がんと食事


朝日新聞にこんな記事をのせました。暇つぶしにお読みください。
がんの患者さんは、食事、運動、体重、補助食品などに関して、様々な疑問を持ちます。しかし、主治医に聞いてもあまりしゃきっとした答えが返ってこない、書籍を読んでもインターネットで調べてみても情報があふれ、どれを信じていいのかわからない、そのうち、心配した親戚の人や友人が、この食品がいい、これを飲むといい、など、いろいろな事を言ってきて、益々混乱してしまいます。
状況はアメリカでも同様のようです。アメリカ対がん協会では、2-3年に一度、がん患者の食事に関するガイダンスを公表しています。患者の状況別に①抗がん剤、手術、放射線などの治療時期、②治療からの回復期、③がんの再発を予防する維持期、そして④再発がんと共存する時期にわけ、お勧めの栄養、食事について記載してあります。また、がんの種類によって必要な栄養や食事が詳しく解説されています。アメリカ人の食事内容や体格などの違いをきちんと認識しておけば、日本人にも充分に通用する記載が多いので、いくつかご紹介したいと思います。
まず、このガイダンスを読んでも、また、我々の検討でも「食事療法でがんを治す」なんてことはあり得ないということを、読者の皆さんには知っておいてもらいたいと思います。
かつては、「がん患者は、がんに栄養が行かないように飢餓にちかい状態が好ましい」という理屈で、断食療法というのが行われたことがありました。しかし、それによって栄養不良におちいり、餓死したという患者の話もありました。現在では、断食療法は、明らかに誤っているということがわかっています。しかし、先日もインターネットで調べて、玄米、みそ、茹でた野菜、小魚(じゃこ)、アーモンドと大豆数粒、1日2リットルの水だけという食事を摂り、日増しに痩せていく患者さんの家族から心配して相談を受けました。がんの患者さんでは、カロリーを充分にとることは基本中の基本であり間違った食事で命を縮めてほしくないと思います。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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