患者にとって最も確実で信頼できる情報源は主治医のはずです。しかし、患者と医師のコミュニケーションがうまくいかない場合があります。医師も人間、患者も人間ですから、相性の良し悪しもあるでしょうし、医師が説明技術を十分に習得できていない場合もあるでしょう。また、患者の要求度の問題、つまり、無理難題を求めるような場合もあると思います。しかし、医師は医療のプロとして、患者に必要な情報を適切に提供できるよう、コミュニケーション技術と話術を身に着けなければなりません。患者のタイプに合わせた対応も必要です。医師から見た患者のタイプは4つに分類できるという報告があります。
情報型; 患者はインターネットや書籍から、できる限りの情報を集めて必要なものを取捨選択して、自ら決める判断材料とするタイプです。医師に求めるものは専門家としての知識と情報です。
解釈型; 自分では問題を具体化できず、結論が出せないようなタイプで、医師に導かれて答えを探していきます。医師には、カウンセラーのような役回りを期待し、医師には明確な治療方針をわかりやすく説明してくれることを期待します。
審議型; 具体的な解決策を自分なりにはいろいろと考えつきますが、結論に至ることができず、医師には、友だちのような役回りを期待し、同じ目線で議論して答えを求めるタイプです。医師の一方的な説明ではなく話し合って結論に至ることを好みます。
父権型;説明を必要とせず、「これが正しい」と断言して引っ張っていく人に安心してついていくタイプです。医師にいろいろな情報を提供されたり、選択肢を提示されても混乱するだけなので、結論と自分がどうすべきかだけを提示してほしいと考えています。医師には、厳格な父親のような役回りを求めます。
私たち医師は、患者がどのような医師と患者の関係を求めているのかを意識して、説明を工夫しているのです。