「ろくでな医師」養成講座


セカンドオピニオンを聞きに来た患者さんのご主人の話。「主治医からはただ抗がん剤をする、とだけ言われたのですがそれでいいんでしょうか。」紹介状にはパクリタキセルを使う予定、と書いてあるので、「薬の選択はこれでいいと思いますよ。」と答えると、「薬の名前は今初めて聞きました。」というので、「副作用とか、どんなふうに治療するかとか、聞いていますか?」と尋ねると、「若い医師で、とにかく逃げるんですよ、こちらがいろいろ聞くと、勤務時間はもう終わりですから、といって帰ろうとするもんですから、思わず、怒鳴ってやろうと思いました。」と、声を震わせておっしゃいました。ご主人には、とにかく冷静にと申し上げましたが、あまりにひどい対応なので、紹介状の返信に、医師たる者、勤務時間などという個人の勝手な都合を持ち出すのはけしからん、患者の求めに応じ、逃げずにきちんとした説明をしなさい、という風な、説教文を書いて反省を促しましたが効果があるものやらどうなのやら。この話をO先生に話したところ、「初期研修では、指導医側も、勤務時間を超過してはいけないとなっているので5時になると、帰って帰ってと、そのあと、カンファレンスとか、あっても関係なく帰らせるんですよね、また、遅くまで勉強させられるところは、あそこは遅くまでやらされるっていう評判が翌年の学生なんかに伝わって、人が集まらないのでどうしてもそうなってしまうんじゃあないんですか」と言っていました。そもそも楽しんごで、医師になろうなんていう魂胆が大間違えで根性を叩き直さなければいけません。私たちが研修医の頃は、病棟に深夜1時まで残ってカルテをかいたりして、準夜勤務から深夜勤務への看護婦の申し送りを聞いてから帰る、とか、レジデント部屋で、隣の部屋の医師が夜中に呼ばれていったら、自分もついて行って、緊急手術とかがあれば、入れてもらう、とかいうような、自発的かつ、積極的な勉強をするのが当たり前でした。レジデントの時は1年365日、毎日病棟には必ず顔を出す、というものも珍しくはありませんでした。勤務時間だから帰ります、と患者に言う、などというのは言語道断です。親ならぬ指導医の顔がみたいもんです。最近の研修医上がりをみていると、きちんとごあいさつはできない、やれ結婚式だ、新婚旅行だ、夏休みだから休みますだ、学会に行っても昼過ぎにふらふらと出てくる、だからといって懇親会や県人会などの集まりとかに参加するわけではないと、自分の都合で好き勝手な行動を正当化しているのがめだちます。、鉄は熱いうちに打て、ということは、つまり、若いうちからそんなふやけた甘い(はまい=浜医)行動パタンを身に着けていては「ろくでな医師」にしかならんだろうことはあきらかであります。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

“「ろくでな医師」養成講座” への 1 件のフィードバック

  1. ご無沙汰しております。栃木県立がんセンター腫瘍内科の西智弘です。件の医師は問題外ですが、きちんとした研修病院で研修を受けたスーパーローテート世代は、5時だからと言って帰ることもなく、先生の時代と同じような研修をしていると思いますよ。と言うより5時に帰れという決まりがあったことすら知らなかったです。朝5時に来い、というのならありましたが。ただ、ひとりひとりに対して責任を持って指導をする、という形での指導者が院内で不明確なことが多いので、厳しく自分を律していないと甘やかされて育つことになります。それも、優秀な同僚がいると、お互いにハッパをかけながら成長していくもんですが、適当に学生時代を過ごし、適当なマッチング先で研修をし、そのままスタッフになったりする経過だと厳しいかもしれません。

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