○○新聞社△△様
昨日、第1回 婦人科がん市民講座を開催いたしました。貴新聞に掲載して頂いたおかげで80名強の参加者でした。厚く御礼申し上げます。子宮頸がんワクチン普及をテーマとした今回の市民講座では、中学生、高校生の性に関する倫理感の乱れや、彼らの性交渉のあきれた実態を前提として容認した上で、子宮頸がんワクチンを普及させることにより、女性(とくにセクシャル・デビュー前の若者)をパピローマウイルスの感染から守り、同時に、社会をパピローマウイルスの蔓延から守る、という二つの目的を達成しなければならない、という課題があることが浮き彫りになりました。しかし、28名の参加者から事前に寄せられた40の質問には、きわめて利己的な視点のものが目立ったような気がします。国がむりやり押し付けているのではないか、とか公費補助が出る、出ないで不安感をあおって、ワクチンの普及を促しているような気がする、とか、性に関する倫理的教育を学校でもっときちんとやってほしい、とか、自分の娘には、どのワクチンを打てばいいのか、など。医療消費者としての権利を主張するという姿勢は必ずしも間違っているとは言えません。しかし、自然科学、医学、医療の努力の結実として生まれた、がんに対する初のワクチンを、行政が補助金を出して実施してくれる、といった恵まれた環境の中にいることに対して何ら感謝の念も持たず、また、乱れるだけ乱れた若者の性行動を是正する努力もせず文句ばかりつけている次元の低い母親像を作り出してしまった、社会教育の失われた20年、といような問題も同時に明らかになったと思いました。今後とも、がん情報局として、乳がん、消化器がん、婦人科がんなど、コモンキャンサーについての市民講座を主催していく予定ですので、ご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。