今日の午前中の一般演題3、午後の一般演題4では、大規模臨床試験の結果が次から次から次から次から発表された。
GEPAR-TRIOはGBG(German Breast Group)von Minckwitzの発表。術前化学療法は、いまや、初期治療における標準治療と位置付けられている。術前化学療法のメリットとしてよくいわれるのが「in vivo chemo-sensitivity test」つまり感受性を確認することができるということだが、一般臨床で行う形態はどうだろうか。たとえば、TACを6サイクル実施すると決めて取りかかった場合、通常よほどのPDでない限り、既定の治療を続けるのが一般的である。この試験は、途中で効果が思わしくないとき、あるいは、逆に1サイクル目からすごくよく効いた場合にどうするかという状況において、明確な指針を提示した優れた試験だ。サブタイプ別治療が導入される前の試験なのでER,HER2状況によらず、対象となった2072症例に、まず、TACを2サイクル実施、NCならば、そこでランダム化割り付けを行い、TACをさらに4サイクル実施(合計TAC6サイクル)か、ナベルビン+ゼローダ(TAC2→NX4サイクル)を行う。つまり、効きは悪いが続けてTACするか、効きがわるいのでTACは見限ってNXに切り替えるかの比較。最初のTAC2サイクルを行ってPRまたはCRが得られた場合には、そこでランダム化割り付けを行い、TACをさらに4サイクル実施(合計TAC6サイクル)か、TACをさらに6サイクル実施(合計TAC8サイクル)を行う。。つまり、効きはよいが、TACを6サイクルでとどめるか、効きが良いので、よく効いているTACを8サイクルまで引っ張るかの比較。効きがわるいのでTACは見限ってNXに切り替える群と、効きが良いので、よく効いているTACを8サイクルまで引っ張る群を、Response Guided Arms と呼び、これと、効果に関係なく、TAC6サイクルを行った場合をconventional treatmentと呼ぶ。結果は見事で、Response guided treatment とConventional treatmentの比較では、DFSは、HR0.71、logrank p<0.001と、Response guided treatmentが優れ、OSでもHR0.79, Logrank p=0.048と有意差に至った。この試験は、実に洗練されていて、素晴らしい試験だし、結果もいろいろと閑雅させられるものがあります。
(つづく)
興味のある方は、von Minckwitz G, Kümmel S, Vogel P, et al. Neoadjuvant Vinorelbine–Capecitabine Versus Docetaxel–Doxorubicin–Cyclophosphamide in Early Nonresponsive Breast Cancer: Phase III Randomized GeparTrio Trial. J Natl Cancer Inst 2008;100:542-51. をまず、読んでおいてください。
勉強になります!