NSAS物語 ②


全国50の病院から3年間に1300人の患者に参加してもらい、予定の治療終了後5年間での再発人数や、治療中および治療後の副作用や、毎日の生活に与える影響などを検討するということでしたので、月あたり37名の患者の登録が必要となります。登録患者数はデータセンターより毎月、主任研究者である私のところへ報告が来ます。最初の月は1名、次の月は8名、三月めの12月も8名と一向に増えません。一人の患者に1時間かけて説明しても、試験への参加は断られ続けでした。お正月には深川不動に、登録が増えるようにと、縁起物の熊手を買いに行ったぐらい、来る日も来る日もNSASBC-01試験の事ばかり考えていました。神頼みだけでは当然だめで、登録が進まない原因を、委員会を開催し深夜まで議論したこともありました。1997年の正月が過ぎ、試験に参加してくれる患者数を増やすための様々な工夫を本格的に開始しました。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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