しかし、観客である全国の医師、看護師には、患者に試験参加の同意を得ることの難しさと同時に、コツが多少なりともわかってもらえたのでしょう、3か月たつと、毎月の登録症例数も20を超えました。もう一つの工夫は、全国の医療者向け講演会です。臨床試験の大切さ、抗がん剤治療の最新情報、副作用を軽くするための工夫、医師-患者間のコミュニケーションなどのテーマで、スライドを使っての1時間程度の講演をほぼ毎週末行い、47都道府県をすべて回りました。母校北海道大学の外科の加藤先生からは、空飛ぶ治験屋といううれしくないレッテルも貼られてしまいました。彼の認識が全く間違っていたことは、10数年を経過した今日、検証されたと思います。