ASCOの最終日の口頭発表ではNSABP-B38試験は、4894症例を対象に行われた術後抗がん剤レジメンの比較試験の結果が、来年のASCO会長である、サンドラ・スウエイン女史により発表された。
この試験は、術後の薬物療法として、① dose dense AC→パクリタキセル、つまり、G-CSFを併用して、普通は3週間間隔で投与するAC(60/600)を2週間間隔で4サイクル、引き続き、普通は3週間間隔で投与するパクリタキセル(175mg/m2)を2週間間隔で4サイクル投与する方法1 ② これのパクリタキセルの部分にゲムシタビンを2000mg/m2の量で上乗せする方法 ゲムシタビンの上乗せ効果については転移性乳癌で検討されて、まずまず、良い効果がでている2 ③ BCIRG001試験で、FACにくらべてPFS,OSが優れていたTAC 3
結果は、この3つの方法で、PFS, OSの全く差がなかったというもの。とくに、ゲムシタビンを追加しても、効果の増強は得られなかったということで、これは、TAGO試験、 neoTANGO試験でも観察されたことである。ゲムシタビンは、術前、術後治療では有効性が発揮されないのだろう。
1. Citron ML, J Clin Oncol 21:1431-1439, 2003
2. Albain KS, Journal of Clinical Oncology 26:3950-3957, 2008
3. Martin M, N Engl J Med 352:2302-2313, 2005
結果はちょっとがっかり、というか、もうこういう超大規模試験でもって、雲をつかむような術後治療のレジメンを比較検討する時代はそろそろ終わりかな、という感じがする。5000症例を対象に、決定的ともいえる結果が得られた、という点は評価すべきだろうか。
ところで、今日、青森の外来が終わったら、東京に向い、夜中の787でフランクフルト経由ミラノに移動。ミラノ乳がんカンファレンスで講演して、来週戻り、乳がん学会のくまもんに向かう。台風が近づいているので気が気ではない。
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