サンアントニオ day1 ③(惨の一)


乳がん治療におけるアバスチンは、パクリタキセル、ドセタキセル、アドリアマイシン、カペシタビンなど、乳がんに効果のある細胞毒性抗がん剤の効果を増強する「ターボチャージャー」という位置付けと認識することにしています。ただ、ターボチャージャーだけに、効果は長続きしないようです。つまり、アバスチンは、細胞毒性抗がん剤との併用で、腫瘍縮小効果とか、無増悪期間を延長させることは証明されていますが、それが、生存期間を延ばすところまではいかないというのが乳がん治療におけるステータスです。大腸癌では生存期間延長効果があるのですが、乳がんでは短期効果どまり、というのがよくわからないという人も多いのですが、それは、疾患の特性というよりも治療環境の問題ではないか、と感じます。。相対的に、乳がんは有効な薬剤がたくさんあるので、なかなか活躍できない、読売巨人軍のような環境です。大腸癌の治療薬は、5FU,オキサリプラチン、イリノテカンしかなく、選手層の薄い横浜ベイスターズのようなものなので、活躍のチャンスは十分にあるわけです。では、読売巨人軍で活躍するにはどうしたらいいか、ということですが、たとえば、どんな局面に代打で出るのがいいのか、つまり、効果予測因子を探す努力が続いています。しかし、選手層が厚い球団で、実力が乏しいのに契約金だけは誰にも負けない選手は、早晩、戦力外通告が言い渡されるのではないでしょうか。そこで、考え付いたのが、野球ではなく、ソフトボールの試合なら勝てるかもしれない、と検討されたのが、ホルモン療法剤との併用でどうか、ということです。ドイツとスペインの臨床試験グループが協力して、レトロゾール(またはフルベストラント)単独 と レトロゾール(またはフルベストラント)にアバスチンを加えて、ホルモン療法感受性のある閉経後症例の再発後初回治療として検討したのが、LEA trialです。無増悪生存を主たるエンドポイントとしていますが、全生存期間なども控えめなエンドポイントに挙げています。結果はどうだったか。とうちゃん、ごめん、やっぱりだめだった。ソフトボールでも活躍できなかった。無増悪生存期間でも差がなく、ましてや全生存期間でも差があるはずがありません。今後、どうすればいいのか、邪魔蛾代理人の戦いは続きます。悲惨がまっているのか、飛躍がまっているのか、次の試合は、金曜日午後4時15分から、検討を祈ります。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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