サンアントニオは冷静だった


G1 SG2MG1SG2M(ジーワンエスジートゥエムジーワンエスジートゥエム) と念仏のように唱えて細胞周期を覚え、細胞毒性抗がん剤の作用機序を一生懸命に覚えたのはレジデントの頃でした。サイクリンABDEというタンパクがサイクリン依存性キナーゼにより活性化されたり、即座にタンパク分解酵素で消滅したり、細胞周期は複雑な仕組みによりG1 SG2Mが調節されているというのもだいぶ前に学びました。細胞周期を止めるというのは原発を止める、みたいに、そんなに簡単にできるの?という思いで、この演題を聞きました。PD0332991は、天下のファイザーが開発している経口薬で、サイクリン依存性キナーゼ4と6を阻害することで、サイクリンDの作用が減弱し、細胞周期がG1期からS期に移行するポイントを抑えるというものです。確かに、PFSが大幅に伸びています。でも、OSは今のところ差はありません。2009年のASCOで和尚ネッシーが、イニパリブの画期的なデータを報告した、あの日の空虚な感動が蘇ってきました。大丈夫かな、中途半端な規模のランダム化第Ⅱ相試験をして、それで、ポジティブデータと大騒ぎをして、すぐにでも第Ⅲ試験を、取り組んだ結果が、OSは差がないし、PFSも今一の差ということで、おいおい、どうしたどうした、ということになりはしませんか? と気がかりです。期待は確かに大きいけれど、どうかなー、あのときだまされたからなーという目で冷静に受け入れる方がいいと感じますね。会場の雰囲気もそれほどにはエンシュージアスティックではなかったように思います。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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