ビヨンドサイエンス


アーマン・ブズダー先生の久しぶりの登壇である。術前化学療法としてパクリタキセル→FECを投与するアームと、それのすべての期間にハーセプチンを加える、つまりアンソラサイクリンとも同時併用でハーセプチンを使うアームとの比較試験でpCR 65%と、驚異的な結果を報告したのが2004年のASCOであった。何かとMDアンダーソンのデータは眉唾ものという批判がある。それは私の意見ではないが、今回の発表では、それが少し裏付けられたという感じがしないでもない。それ、というのは、驚異的な結果を指すのではなく、眉の方である。ACOSOG Z1041試験は、このMDアンダーソン型の術前化学療法のFECの部分にハーセプチンを加えるか、加えないかで、pCRがどれぐらい変わるものか、を調べる試験。その結果は、ハーセプチンを加えてもpCRはかわらないというもの。また、心毒性も増強しないというものであった。それでは、ハーセプチンをアンソラサイクリンと併用で使うのか、使わないのか、会場のスティーブンボーゲル フロムニューヨークからの質問には使う必要はなかろう、との答えであった。名物おじさんふたりのやりとりはサイエンスを超越している。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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