今日の朝日新聞 国際学会のご紹介


毎年6月初めにシカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO、アスコと読みます)に今年も参加してきました。参加者は2万人を超え、その30%は米国以外からの参加者、医師、薬剤師、医学研究者、製薬企業、厚労省などの行政官も参加します。私は、25年前からほぼ毎年参加し、2-3年に一度は研究成果を発表しています。最近は、日本からの発表も増えており、今回は、日本で作られた薬剤、エスワンの膵臓がんに対する効果が注目されました。3日半の会期中は、乳がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がん・・・と、様々ながんについての治療、診断に関する最新情報が報告されるため、すべてに参加することはできません。しかし毎朝8時から約1時間半、前日のハイライトとして、各がんについて15分づつ、重要な話題をその道の専門家が解説してくれるので、それは必ず聞くようにしています。どのがんにも共通している最近の傾向は、一人一人の患者のがんを最新の遺伝子検査でがんが増える原因となっている遺伝子をつきとめ、それに対応する治療薬が作られ、臨床試験で調べられた効果が発表されていることです。このような治療は個別化治療とか、オーダーメード治療と呼ばれ、薬剤の数はどんどん増えています。たとえば、乳がん患者の2割でHER2遺伝子が活発に働いていること増殖の原因であることが1987年に解明され、1998年にはその働きを抑える薬剤ハーセプチンの劇的な効果がASCOで発表されました。そして2005年ラパチニブ、2010年パージェタ、2011年カドサイラといった具合に次から次へと新薬の治療成績が発表されています。最近はが世界同時に臨床試験が行われるので、海外で使える薬が日本では使えないという状況は次第に解消されています。国際学会に参加してみると、患者に1日でも早くよい薬を届けるために、世界中の医師、製薬企業、行政が一緒になり努力しているということがよくわかります。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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