いつまで続く抗がん剤治療


「抗がん剤治療はいつまで続けるのですか?」、再発がん治療を受けている患者からよく尋ねられる質問です。抗がん剤治療が行なわれる状況は大きく分けて二つあります。一つは初期治療です。がんと診断された後、手術や放射線治療と組み合わせ、完全治癒を目指して行なわれる治療で、抗がん剤の期間は予め設定されており、通常は半年以内に終わります。初期治療では、多少の副作用はどうにか乗り越え、規定の治療を完遂することが大切であると我々は考えています。もう一つは転移・再発後治療です。がんが他の臓器に転移した場合、完全治癒は困難な場合が多いのですが、がんと共存して発病前と同じような生活を送ることができるよう痛みや呼吸困難などの症状を和らげ、延命をめざすのが、転移・再発後治療の目標です。この場合、抗がん剤治療は、期間を予め設定して行なうものではありません。原則は、効果があり副作用も許容範囲内ならば続けます。しかし、副作用が強くて続けられない場合もあります。そんな場合は、抗がん剤の量を減らしたり、ケモ・ホリデイ(抗がん剤のことを英語でケモセラピー、略してケモと呼びます)と言って、抗がん剤治療をしばらくの期間お休みしたりすることもあります。気分転換のために旅行に行くなど、趣味に気持ちを向ける事も大切です。また、永久に効果が続く訳ではありませんから、別の薬剤に変更することもありますし、効果の期待できそうな薬剤を使い尽くしてしまう日も来ます。新薬の効果や安全性を確かめる臨床試験に参加し、次世代のがん患者によい治療を残して行くことも重要な取り組みです。転移・再発後の治療は山あり谷ありの長丁場ですが、毎日の生活や仕事を犠牲にしないよう、気持ちの余裕を持つことも大切です。患者は医師の指示に従わなければならないと考えるのではなく、医師とのコミュニケーションをよく取り、相談しながらいっしょに治療を組み立てて行きましょう。

 

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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