続けなさい、されば形づくられる


症例検討カンファレンス、2005年から月一回のペースで始まった。医療センター外科の徳永先生と私がほぼ同じ時期にそれも偶然に浜松に移動したので、それならばと国立がんセンターでやっていた(今は消滅したらしい)熱闘カンファレンスのようなものをやりましょうということで始まった。それこそ最初は手作業、自発的に資料を作り飲み物も弁当もなく腹ぺこで帰りにサンマルクで食事をするというパターンで続けた。いつの間にか柏戸薬品工業株式会社が弊社で弁当、飲み物を用意します、と言ってきて、そうしてくれるならどうぞお願いしますね、と依頼というか許可したら大柄なMR君がいつも会議室入り口にうろうろしてちょっと目障り。検討症例が多くなり月二回にしようということになったが参加者はますます増えて医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、時に学生など、30人を超える参加者で熱気にあふれていた。柏戸薬品工業が月二回はお手伝いできませんので、撤退したいと言い出したので、別にこちらからお願いした訳でもないし、それならば、健全な情報活動であるからしてがん情報局の活動としてやりますよ、と今日に至っている。当初は徳永先生が作成してくれた医療センター症例ファイルは現在は小泉Kくんが作成してくれている。長く続くと言う事は、うらを返せばマンネリ化するということ。出なくなって久しい薬剤師やほとんど出てこなくなった大学の先生、私性活に忙しい病院の先生など、個人の都合でいつの間にかご無沙汰ということは世の常であり批判はできないが、地道に継続しなければいけない活動もある。また、トップに立つもの、率先垂範、どんな事があっても必ず参加する、という姿勢を見せてこそ、若者にも習慣が形作られるのである。Jenning君がいみじくも、かたことの英語で言っていた。継続は力なりですね。Endurance makes you stronger, doesn’t it? と。継続することにより、そのひとのスタイルができてくるのだ。ちょこっと覗いてあとはまあいっか、と出てこないというような行動パターンではいつまでたっても形ができない。あれこれと海外学会にはしょっちゅう参加して忙しい忙しいと言っていても、じゃあ、君の「これ」っていう仕事は何なのと聞くとなにも業績がないという若手・中堅もたいへん多い。若くして企業に踊らされて評論家活動をしているようなふやけた者も多い。学生時代にスコットランドに夏期留学していた頃、アバディーン地方の城の壁に「役に立つように己を形作れ、壁の穴に合う石は道に捨てられたりはせぬ、やがて運命が君の大きさを測り、言うだろう、君は使い物になる、私のためにこれをやってほしいと」という意味の文字が書かれていた。形のはっきりしない石は役に立たず、捨てられ、そこらへんに転がっている。形のある石は重要な位置にはめ込まれ、きちんとした役をはたし周囲から評価され信頼されるようになる。堅い石が鉄槌とノミにでもって時間をかけて少しづつ削られ必要な場所でその存在価値を発揮するようなものだ。求めなさい、そうすれば与えられる。探しなさい、そうすれば見つかる。ドアをたたきなさい、そうすれは開けてくれる。そして、続けないさい、そうすれば形ができるのです。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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