わからない事


医師は、患者の求めに応じて最善の診療を行なうことが義務づけられています。しかし、最善と言っても、医師の経験、能力などによりそのレベルはまちまちであることは否めませんし、医学自体もすべてのことが完璧に解明できているわけではありません。そういうわけで、医師にはわからない事が多いのです。不治の病とも言われるがんの医療ではさらにわからない事が多いのではないでしょうか。なぜ自分はがんになったのですか、と患者から尋ねられても原因はわからない場合がほとんどです。しかし、ぶっきらぼうに「わかりません」とは答えにくいものです。食生活など、今までの生活習慣が悪かったからがんになったのではないかと悔やんでいる患者の場合、そうではないことを説明することで気持ちが楽になることもあります。治療結果については、専門家と言えどもわからないことが多いです。患者は治して下さい、と訴えます。その心情は十分に理解でき共感できますが、「任せて下さい。」とは言いにくいものです。言える事は、精一杯、がんばりましょう、という最善診療の約束です。がんが転移した場合、症状緩和、症状予防、延命を目指して、山こえ谷こえ、艱難辛苦に打ち勝って治療努力を継続すること、その過程で、医療者は、難しい局面でも決して逃げず投げ出さず、常に患者、家族に寄り添い続けることが大事であることは間違いありません。そうしているうちにがんが治ってしまうということがあることも事実ですが、それは、現時点の医学では治療前に予測も約束もできない、わからない事なのです。ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生が、細胞のしくみは神の摂理ですね、と言っていました。神様が定めた自然現象で人間にはわかっていない事がたくさんあり、研究者は最善努力を傾け研究し現象解明を目指すという過程が大切です。がん治療も同様で、医療者は最善努力をすることが大切であり、結果はあとからついてくるのです。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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