薬を飲みたくなくさせるマスコミ


「薬は体に悪い影響を与えるのでなるべく飲まないほうがいい」という間違った意見を主張する本が出回っています。立ち読みしてみると、糖尿病の治療はするな、コレステロールは下げるな、など根拠のない誤ったな話ばかりで呆れてしまいます。がん治療についても、一部の出版社が煽り立てるように抗がん剤を否定する内容の本が店頭に多数並んでいます。また、鎮痛剤や解熱剤は飲まないで痛みは我慢するほうがい、熱は下げないほうがいいと主張する本もありました。このような情報に影響されているのか、薬はとにかく飲まない方がいいと固く信じているひとは少なくありません。どんな薬にも求める効果と避けることができない副作用が必ず現れます。とくに抗がん剤は確かに副作用が強いです。しかし、副作用を経験するけれど長生きができるという効果が得られる場合も多いので、一時的な副作用をどうにか凌いで、効果を享受してほしいと思うのです。出版社も本が売れさえすればいいというような無責任な対応は改めてもらいたいとつくづく思います。同様のことは、テレビ番組にも言えます。以前、がん治療をテーマにした民放の特別番組に出演した時、事前に予備取材があり、私は腫瘍内科医は数種類の抗がん剤を用いて、副作用を抑える工夫をしながら効果を引き出しながら治療を進めるという内容を提案し、患者にも取材に応じてもらい映像も準備しました。ところが、スタジオでの番組収録の際、ゲストタレントの「えっ、抗がん剤って一種類じゃないの?」の発言に対して私が言った「抗がん剤は約150種類ぐらいあります。」の一言にディレクターが反応、後日、追加取材が来て、ありったけの抗がん剤を並べて撮影し出来上がった番組は「がん治療の達人!150種類の抗がん剤を使いこなす」という内容でおもしろおかしくまとまっていました。テレビ番組は視聴率さえ上がればよいのでしょうか? マスコミは国民のレベルを反映しているのでしょうか?

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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