3つの定年 パート2


第三の定年(この世との別れ)は通常は自分では決められません。神さまとか仏さまとか、お天道さまとか、それぞれに信じるところが決める、ということになっています。第一の定年、すなわち社会的定年は55才から65才の間にさだめられており、通常、所属する組織に規定で定められていますから、しっかりした組織では、これを自分で変えることはできません。ゆるい組織ではそうでもない場合もあります。第一の定年をそろそろ迎えようという人達が私の周りにはたくさんいます。というか、そういう年齢になった、ということです。その時期になると、これでもか、これでもか、と、権利と勢力を誇示しようと、「教授就任15周年(ほぼ定年)記念パーティー」の案内を1年以上前から配らされている医局長もいます。他の予定は絶対入れるな、出席しない奴は容赦しない、といわんばかりの上司の代行も哀れさを感じます。そのあたりは、ひっそりとやるのがよろしいのでは、と思いますが、権力を誇示し、第二の定年の職場へのきらびやかな移行を誇示したいのだろうと思います。また、もぞもぞと第一の定年後の準備を地味にしている同輩もいます。後継者がすでに着任してしまって押し出されるまでの時間つぶしをしていたり、混乱の中に定年を迎えざるを得ずいつの間にか近くの池にごそごそと歩いて移動するような地道な渡り鳥もいます。この時を迎えて、それぞれが今まで背負ってきた人生が投影される時であり、自らを冷静に吟味する時期でもあると思います。しかし、この時期に私生活も、公生活も乱雑なままになっているとずいぶん大変なように思います。しかし、複雑に絡み合ったしがらみのなかで、もがくのも、自らが作ってきた人生なのでしょう。第一の定年についての考察でした。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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