もうすぐSt.Gallen2015


3月中旬にはSt.Gallen 2015が開催されます。パネリスト間でのスライドチェックも終わり、あと2週間でもう一度、予習をします。今回は内容的には大きな変更はないと思いますが、遺伝子発現に基づく予後推測、治療効果予測が世界では一般化しているのですが、日本では行政の切れ味が悪いため、なかなか承認に至らず、2年前と同じように「日本ではここに上がっているオンコタイプもマンマプリントもプロシグナもエンドプレディクトも、ガバメントがアプルーブしていません」と発言しなくてはなりません。そうすると周囲のパネリストから「オー、リアリー!?」と、驚きの声があがることになります。パネリストとしてはとってもはずかしいのですが、ジャパニーズガバメントが悪いのか、話をもっていく企業が悪いのか、後方から支援している医学専門家の不手際なのか・・・。

St.Gallenのあとは、国内でいろいろな先生がたに呼んでいただいて、内輪話をも交えて、日本の近未来を語る会があちこちで開催されます。これは、毎回、いつもとても楽しい会になり、討議、討論も盛んです。いつの、どこでだったか、にしやませんせいというかたが、「タモキシフェンが復活したり、わけがわかりません。そんなでたらめな専門家ってあるんでしょうか?」と、厳しいご指摘を頂きました。たしかに、2002年にアリミデックスがタモキシフェンに買った!! というランセット論文から、タモキシフェンの時代はおわり、すべてアロマターゼ阻害剤だぜ、となりました。その後、フェマーラも、アロマシンも、同じくアロマターゼ阻害剤はどれもこれも素晴らしい!!という論調になりました。しかし、日々の診療で、関節痛とか、骨粗鬆症骨折とか、体の冷え冷えを訴えをアロマターゼ阻害剤内服している患者から頻繁に聞くようになると、結構副作用強いな―、使いにくいなー、でもエビデンスではタモキシフェンよりいいって言うし・・・と思っているうちに、関節痛などの副作用の出る人のほうがよく聞く、なーんていうことをジャックキュージックが言い始めて、ああそうなのか、と患者さんに我慢して続けようね、よく聞いているっていうことだから、と言って続けるも、その後のデータで、タモキシフェンに戻してもいい、とかCYP2D6 遺伝 子タイプによっては効くかも知れない、とか、そもそもタモキシフェンとアロマターゼ阻害剤の効果の差の大きさは僅かなものじゃないの!? 5000症例とか9000症例の比較で有意差になるけど生存曲線みても肉眼では1本に見えるような差程度じゃあね・・ということも浸透してきて、タモキシフェン復活という話になり、世界のコンセンサスがより戻されたというわけでした。その辺りの微妙な経験知の蓄積を、にしやまくん、今ではわかってくれるかなー、ことしも熊本行くけど。

投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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