ASCO乳がんで感じたこと


乳がんの口頭発表のセッション二つ(ER陽性HER2陽性 と TNBC/LOCAL THERAPY)が同じ日の午前と午後の割り当てられたのは25年でもはじめてでしたが、他の日には泌尿器科系とか消化器系とかのセッションを新鮮な感覚で聴講できたのでそれはそれで良かったかな、と。内容は、しかし、全体的には輝きは乏しかったと思う。NSABPB35(NRG Oncology)のDCIS手術後の再発防止効果でTAM対アナストロゾールの話も副作用まできっちりと見ていて緻密だけど、昔のNSABPのダイナミックなインパクトが感じられなかった。CALGB40503(Alliance)のLetrozole vs. Letrozole+Avastinの話は、例によってAvastinを加えてもPFSは有意に伸びるけどOSは変わらないというもので、AVADO試験などのホルモン療法版で、一般臨床で積極的に使おうとは思わないけど。。。PALPMA3もパルボシクリブを加えると激しくPFSは伸びるし、副作用もそれほど激しくないという結果。でもさーOSはどうなりそうなの? BORELO2のようにアフィニトールを加えたらPFSは延長したけどOSは全然伸びず、口内炎が強くてそれが研究対象となるほどのインパクトだけはある、といようなこともあったし。。 術後患者6000人ほどを対象として、飲み薬「クロドロネート」、「イバンドロネート」これらは飲み薬、それとゾレドロン酸、これは点滴、の三種類をランダムに割り付けて、PFSや副作用はどうでしたか、という検討。結果は効果(PFS、OS)は差がない、差がないというか、そもそもABSG12 も長期のフォローアップのデータをみるとゾレドロン酸の効果はだんだん薄れて有意差はなくなっているので、差がでないのだろう。顎骨壊死は、ゾレドロン酸がやや高い、ということ。骨密度などは調べていないようで、話に出ませんでいしたから話になりません。患者様々のプレファランスを治療開始前と終了後の2回伺ったところ、飲み薬がいーい!ということで、やはり飲み薬がいいでしょう、という結論でしたしかし、昔で言うコンプライアンス、今でいうアドヒアランスはどうなのよ、ということで、それなら、次の演題のマイケルグナントの半年に一度のデノスマブの方が、確実に骨粗鬆症は抑制できるので、いいのではないでしょうか?という印象です。それで、次のABCSG18試験は、例のABCSG12で検討したように、Bone-Modifying agentをゾレドロン酸からデノスマブに変えて、閉経前を閉経後に変えて、ホルモン療法の比較は(アナストロゾールで死亡率が高かったというややこしい結果がでたのでかどうかわかりませんが)やらないで、エンドポイントは、骨粗鬆症およびそれによる圧迫骨折をプライマリーにおき、セカンダリーエンドポイントに、PFSとOSをいれています。結果は、デノスマブ60mgを半年に1回注射すると、骨粗鬆症も骨折も大幅に減った、ということで、ポジティブリザルトだ!と、マイケル・はったり・グナントは胸をはって頭を光らせていました。しかーし、そもそも、もそもそ、デノスマブ60mg半年に1回注射は「プレリア」という商品名で日本でも承認されている「検証された骨粗鬆症予防・治療薬」ですから、それでその通りの結果が出た、のは当たりまえです。問題は、ついでに見て、二匹目の「駒形どぜう」をねらって、60mg半年に一回投与で、運良く差がでれば、また、あの調子ではったり・おおいばりをされてもかなわんと、質問したのでした。要は、どうしてその投与量を選んだのか、その根拠はなんなの、投与量検討のために、2容量ぐらい設定したらどうなの、と思ってきいたわけですが、納得のいく答えはありませんでした。そんなこんなでスペースがなくなったので相良やっちゃんの活躍は、みんなが褒めまくっているので、それに水をさすようなことはいいませんが、やはり、科学的には、おおざっぱデータであるSEERプログラムを使って、レトロスペクティブに検討したものでは、明日から日常臨床を変えるものではないとモニカモロウも言っていました。あれだけのデータを良い指導者についてきちんとまとめたことは、パブリックヘルスの勉強としてはこれ以上のものはないでしょう。問題はその経験を用いて、これから、日本でどれほどの臨床試験臨床研究、そして科学的臨床医学の実践ができるか、ということですね。また、ついでに言わせてもらお、やはり発音がわるい。THの発音が全部Zになっています Sの発音がほとんどSHになっています、すわるのsitを、シット(SHIT)というとそれは、畜生!!とかうんちとかおしっこのことですから、ちゃんとSとSHは注意して発音する癖をつけなくてはいけません。SEERもSHEERに聞こえました。RとLの区別はまったくついていません・・・。しかし、これらは、練習すれば確実に修正できるのでがんばらなければいけませんよ。1日1TEDを帰国後も続けるなど、継続は力です。なんとなく、みんなで、最高、すばらしいと、言うのも乳がん学会らしくていいけど、EBMと同じで、Critical Apraisal (徹底的吟味)が必要なんですよ、本当に友達のためを思うのならね!!!! ということで後、プレナリーセッションの話を近いうちに載せます。

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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