外来抗がん剤治療の発展
国立がんセンター中央病院に勤務した間、外来抗がん剤治療を提供する通院治療センターでの業務や、電子カルテ導入に伴う外来外来抗がん剤治療システムの導入に携わった。1980年代の始め頃は、抗がん剤治療は長期入院して実施していた。たとえば、卵巣がん治療のCAP(シクロフォスファミド+アドリアマイシン+シスプラチン)を3週間毎に合計6回の治療では、点滴はセデーションをかけて行い、患者は4ヶ月間ずっと入院という状態であった。1985年頃から、乳がんのCMFなどを対象に外来抗がん剤治療が開始されたが、アドリマイシンやシスプラチンを含むレジメンは強烈な嘔吐のため数日間の入院が必要であった。1990年代に入ると、カイトリルなどの効果的な制吐剤が発売され、抗がん剤治療は、外来治療へと急速に移行していった。(以下次号)