現在では、日本全国、どこの病院でも行われている外来抗がん剤治療であるが、当時は、がんの化学療法は入院して行うもの、病院によっては「無菌室」に患者を閉じ込めて抗がん剤点滴をしているところもあったのだ。学会で、外来抗がん剤治療の導入について発表したところ、会場にいた年配医師から「それは東京だから、国立がんセンターだからできること。田舎の一般病院では、無理な話だ。」と批判を受けたこともあった。東京ならばできる、田舎ではできない、というのもなんとも覇気のない話であるが、ここに、街角がん診療を展開するヒントがあったのである。(以下次号)