国立がんセンターではレジデント教育の責任者も任せられた。内科では、呼吸器、乳腺、消化管、血液、肝胆膵、といった臓器縦割り指向が根強く、腫瘍内科学という臨床医学としてのまとまりが乏しかった。そこで改革に着手、レジデントには内科全科ローテーションを義務づけ、指導される側、指導する側の認識の一致をはかるため定期的に連絡会議を開催した。また、後輩や、レジデント諸君の協力を得て、国立がんセンター内科レジデントマニュアルを刊行し現在まで、改訂版が発刊されている6。国立がんセンター中央病院での勤務は16年に及び、他では得られない多くの事を学び、やりたいことはやり、残すべき足跡は残し、育てるべき人材は育てたと感じていた頃、次の仕事として郷里での街角がん診療実践へと舵を切った。第三の決断である。(以下次号)