大腸がんでベクティビックスの点滴をしていたAさんと乳がんでアバスチン+パクリタキセル点滴をしていたHさんは小学校の同級生、待合室で「あらーっ久しぶり、どうしたの?」となって、それから、いつも「次もAさんと同じ日にしてください」、「Hさん、次、いつ?」 と、つるんで点滴を受けていました。二人が言うには、「渡辺先生、随分、もうけているでしょう。うはうはなんじゃない、だって、私たちの医療費、毎回、すごいわよ! でも、良く効いてるからいいけどね、じゃあ、点滴して帰ります、ありがとうございましたー」と、明るい点滴を続けていました。
たしかに、ベクティビックスは1回約23万円で2週間毎の繰り返し、アバスチンは2週間に27万円、パクリタキセルも1回4万円ぐらいで毎週の点滴。患者は3割負担で高額医療制度もあるので、実際、支払う額はもっともっともっと少ないけど、彼女らは「渡辺先生はものすごく儲けている」という印象をもったわけです。世の中、同じように思っている人は多いと思いますよ。しかしだね、薬剤は「問屋」から仕入れるのだけど、高額な薬剤などは、ほとんど値引きがない。しかも、病院が問屋から買う時には消費税をはらうけど、患者が支払う分には消費税は掛からないから、病院が消費税を丸々負担しているというのが実体であります。なので、下手すると消費税分、持ち出しになることもある。外来化学療法加算として5800円がつくけれど、ほとんど焼け石に水、状態なのです。だから、患者一人当たり、病院の収入は、血圧がたかい、コレステロールが高いなどの一般内科患者と、癌患者とでは、ほとんど変わらないのです。医師になった同級生なんかから、「おまえ、よくそんなめんどくさいこと、やってるな」とよく言われますが、がん治療が私の天職と心得、取り組んでいるのでかまいませんが、、確かに、わりはあわないかも知れません。
関東一円に展開する○○中央病院とか、国際○○福祉病院系列などの大規模病院グループでは、グループとして、問屋からとさっと仕入れるため、価格交渉でも強気で、問屋もかなりの値引きをします。ハーセプチンなどは30%近く引いていると聞いていますが、その分を問屋は我々のような弱小医療機関から搾り取っている、というのが現実なのであります。天国のAさん、Hさん、仲良くしていますか?