今さら言っても間に合わないけれど、同じ事をやっていても「病院」では加算がとれるけれど、「診療所」では加算がとれない、と言う項目が沢山あり、街角がん診療所を推進する立場で、とても不条理を感じます。間に合わない、と言うのは、「平成28年度の保険診療点数の改訂に」ということです。
「無菌製剤処理料」という項目があります。無菌製剤処理とは「無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等の無菌環境において、無菌化した器具を用いて、製剤処理を行い、無菌製剤処理を常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくことが義務づけられています。
それで、エンドキサンなどの「揮発性の高い薬剤」を使用する場合には、「閉鎖式接続機器」を使用した場合に150点(=1500円)の加算がつく、というもの。この閉鎖式接続機器は、点滴チューブとかの接続の際に、薬剤が一切、漏れないように出来ている、確かに優れものですが、一回の点滴分で、現金正価2,000円ぐらいします。ですから、そもそもこれを使って、加算をとっても「足がでる」のですが、医療者にとって安全性が高い器具ですから、積極的に導入すべきと考え検討したところ、算定要件の一行目に「イ 病院であること。」とあり、じゃあ、だめじゃん、となってしまいました。なんで診療所ではだめなの? 外来化学療法は2004年に病院で診療報酬加算が認められ、次の2004年改訂の際に診療所でも加算が認められ現在に至っています。安全で、効果的て効率のよい街角がん診療をやろうとしても、このような理不尽な「差別」を厚労省がするようではよいシステムは普及しません。在宅診療を推進するのならば診療所での高度医療を推進するべきではありませんか? 厚労省よ!!!
この件に加えて言いたいのは、厚労省はさまざまな「施設要件」を加えて来ますが、それがために、どれだけの設備投資、人件費が必要になるのか、そしてその要件は本当に意味があることなのか、過剰品質を求めていないのか、それを満たすために医療機関はハードルが高すぎて経済的に、人員配置的に消耗してしまう、あるいは切り捨てられる(病院でないとだめとか)のであります。世の不条理を感じますが、被害をうけているのは我々のような中小医療機関なのであります。国民総医療費44兆円を削減したければ過剰・不要な要件は見直すべきであると思います。