大学の先生がもともと国からもらった研究費で開発した新薬を製薬企業が安く買い取って「新規加算」をがっぽりとつけてもらって、そのあたりの決定に役人から大学の先生に「先生、新規加算を大盤振る舞いしておきましたから」と、大学の先生が「越後屋、おまえも悪よのう」と言ったかどうだか、made in Japanをアッピールすることが正義であるかのごとき流れで破格の薬価が設定されたのであった。確かに画期的な薬剤であることは確かである。しかし、日本での薬価が米国での標準的薬価の2倍以上に設定され、それは高過ぎる、非常識だ、といった世間の大合唱で薬価が結局半分に下げられたのであった。薬価算定委員をつとめていたので薬価設定のルールはよく知っているのであるが、きちんとしたルールに則って決めた薬価が高い高いの大合唱で半分に下げられたと言うこと自体、これは大変な問題である。不況知らずの製薬企業であることは、リーマンショック以降の世相の変化も何のその、社員はみんなハッピーハッピーという現実をみればよく分かります。薬価算定の仕組みを根本的に考え直す、というムーブメントはそれなりに評価できると思う。4月20日に、私もこの独り言で、この薬剤の薬価逆転現象を指摘したことがあったが、とにかく、地に足をつけた行政が展開されることを望むのである。