鼠と鴎(ねずみとかもめ)(a rat and seagulls)


今日は冷房がキンキンによく効いて、外からカモメの声が聞こえるホールD2で乳がん初期治療のセッションがありました。初っぱなの演題が「APHINITY TRIAL」の結果です。HER2陽性乳がんの術後のACとかの抗がん剤のあと、ハーセプチンを1年(+プラセボ1年)使用する標準治療群とそれにパージェタ1年を上乗せする試験群との比較、症例数は4803人、日本からも303人が被験者として協力してくれている。4年の時点での無再発割合は、92%対90%、統計学的には、P=0.045、ということで有意差が出たということである。この試験結果、実は、今年3月のSt.Gallen Conference直前にロッシュ(日本では中外の殻を被っている)がプレスリリースをして有意差があったぞっ!!と大騒ぎになり、それをうけてSt.Gallenのパネリストの間でのメーリングリストで、投票(Voting)の質問に加えるかどうか、が問題となったが、科学的なデータも見ないで科学者が踊らされてはいけない、ということで様子見になりました。パージェタと言えば、HER2陽性の再発乳がん患者で検討したクレオパトラ試験で生存期間を1年半も延長させるというしっかりした結果が出ました。そして、「プレスリリースで有意差」ということもあり、Late Breaking Abstract、つまり直前までAbstact(抄録)が公開されない、という、期待を膨らませる要素が三つもあったので、会場はセッション開始前から熱気に包まれていました。ところが発表の内容はちょっとがっかり(´・ω・`)。その部分が終わると会場から聴衆の半分ぐらいがぞろぞろぞろと出て行ってしまいました。佐伯俊昭先生も頭を抱えて出て行きました。こ大山鳴動して鼠一匹でたよ、とはこのことです。その後の発表は、寒い室内に空しく響き、凍えそうな広いホールでカモメの声がこだまする、まるで、「津軽海峡冬景色」のような時間が流れています。以上、会場からお伝えしました。あ〜あ あ〜♪・・・・

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投稿者: 渡辺 亨

腫瘍内科医の第一人者と言われて久しい。一番いいがん治療を多くの人に届けるにはどうしたらいいのか。郷里浜松を拠点に、ひとり言なのか、ぼやきなのか、読んでますよと言われると肩に力が入るのでああそうですか、程度のごあいさつを。

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