プレナリーとは「全員出席の」という意味で、日曜日の1時から4時まで開催される。はじめてASCOに参加した25年前、西條先生から「これだけは絶対参加せんとあかんで」と言われ、忠実に守っている。自分の専門の所だけを聞く、というでのではなく、オンコロジー全体を知るために、必ず参加しなくてはいけない。西條先生からもらった数少ない賜物がこの指南と妙子である。さて、最初は2018年ASCO「Science of Oncology Award」受賞記念講演だ。演者はヒトパピローマウィルスに対するワクチンの開発、普及に尽力し子宮頸がんの発症を世界的に抑制することに成功したNCI/NIHのDouglas R. Lowry。子宮頸がんの原因が性交渉によるウイルス感染であり、がんを予防することができる、という画期的な話の顛末である。講演の中で、先進国ではワクチン接種の普及で発症、死亡が急速に減ってきているが、発展途上国ではそこまでは行っていない、というスライドが出た。ここで聞きながらしみじみ感じたことは、「日本ではワクチン接種後に一部の女性に副作用とされる神経症状、疼痛などが発症することから厚生労働省が2013年6月、積極的な勧奨を中止したため、接種率は1%未満にとどまっている。つまり、このまま行くと世界で最も子宮頸がんの発症率が高い国になってしまうのかな〜」ということ、新しいタイプのワクチンの開発も進んでおり、その普及に期待したいものである。短時間だが内容の濃い講演だった。