新型コロナウイルス感染(COVID-19)蔓延に際して、マスコミなどでは、やたらと免疫力という単語が飛び交ってます。「乳癌手術・放射線照射後の女性が免疫力が低下したのでCOVID-19に感染した」という報道にはあきれます。術後の放射線照射では感染抵抗力が低下するような免疫細胞(好中球、リンパ球、単球など)数の変化は通常認められず、放射線肺臓炎が見過ごされていた状態でCOVID-19肺炎が合併したと考えるのが妥当ではないか、と思います。また、抗がん剤治療では、好中球は減少して細菌感染に対する抵抗力は低下する可能性はあるけれどウイルスに対して抵抗力が低下する、ということはありません。また、抗がん剤治療には、好中球減少を防ぐ長期間効果持続型の好中球増多因子(ジーラスタ)を使いますからいちいち好中球数を測定しないで安心、安全な抗がん剤治療を行う事ができます。
免疫力という耳障りのよい単語は、一人歩きして、ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品をたべると「免疫力」が増強する、とかいう根拠の乏しい特集がやたらと目につきます。免疫力という単語は、精神力、と同じぐらい、実態不明だと思います。個々の食品がいい、わるい、という話ではなく、バランス良く多くの食材を取り入れた豊かな食事を楽しむことが大切であろうか、と思います。
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