「タキソール」という抗がん剤は卵巣癌,非小細胞肺癌,乳癌,胃癌,子宮体癌,再発又は遠 隔転移を有する頭頸部癌,再発又は遠隔転移を有する食道癌, 血管肉腫,進行又は再発の子宮頸癌,再発又は難治性の胚細 胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍)など多くの種類のがんに週1回の点滴で使用されています。タキソールは水にとけにくいので「クレモフォール」という「界面活性剤(洗剤のような働きで水に溶けやすくする)」を少し混ぜてありますが、このクレモフォールがやっかいでアナフィラキシー反応(コロナワクチンの副作用として最近では小学生でも知っている副作用)が出るのが大きな欠点なのです。私も何人かの患者さんを、タキソールのアナフィラキシー反応で辛い思いをさせたことがあり、悪夢のようにその光景が浮かび上がってきます。この欠点を補うためにタキソールをアルブミンというタンパク質で包み込んだのがアブラキサンです。あんこをお餅で包んだようなものです。アブラキサンはアナフィラキシー反応はおこさないため安心、安全な優れた薬なのですが、お餅の部分同士がくっついてまとまってしまうので、薬剤師が点滴を準備するときに生理食塩水に溶かすのに時間がかかってしまいます。薬剤師は几帳面な人が多いので、じっくりじっくりと、もくもくと、こつこつと、ゆっくりゆっくりと、ていねいに、ていねいに攪拌してアブラキサンを溶かします。しかし、なかには、こんなめんどうくさいこと、やってられねーや、てやんでー、という江戸っ子のような薬剤師もいるようで、「どうにかなんねーか、こちとらいそがしいんでい、やってられねーよ・ちきしょーめ!!」と言ったか、言わないかわかりませんが、聞きつけた巨人・大鵬・卵焼き製薬が、「アブラキサン専用攪拌機」を調達し「大鵬」のロゴを入れて医療機関に配布し始めました。「なんかケーキ作るのに使えるかもしれなーい」という方向で役立つかもしれませんが、とにかく巨人・大鵬・卵焼き製薬が一生懸命やっていることは評価します。しかーし「やってることどこかちがーう。。。」という感じもします。努力は評価しますが、薬剤師のみなさんの感想も聞いてみなければいけません。しかし、わたしが訴えたいのは「もっと他にやることアルダロー、アブラキサンの週1回投与が使えないのは日本だけだろう」ということです。あれこれ、いろいろな方々の助言を聞いて、乳癌学会を通じて日本医学会に「アブラキサンの週1回投与法を認めて下さい、おねげーしますだ、お代官様」、という嘆願書を出しました。乳癌学会が終われば神野先生も気持ちを取り直して、委員会で承認してくれて、日本医学会に提出してくれるだろうと思います。
先生こんにちは。
私も自分では几帳面でとことん凝るタイプだと思っておりますが、江戸っ子気質もあると思っています。一度アブラキサンを溶かしてみたいです!